2020年11月13日金曜日

小春日和の『鰻の幇間』


平日の休み。

朝、パン、コーンスープ、卵とウィンナーソーセージの炒めもの。パンにはタルタルソースが私は好き。

子どもたちと図書館に行く。『ビートルズ』(アラン・ゴズィン著、角松天訳)を借りてくる。


しばらく前に録画していた落語研究会の春風亭一之輔『鰻の幇間』を観る。

上手いよな。ギャグも斬新。一緒に見ていた次男がげらげら笑っていた。

ただ、私は入っていけなかった。確かにギャグのセンスはいい。しかし、幇間が登場し、浴衣がけで湯に行く客がいて、9円75銭の勘定が発生する世界を、それは壊してはいなかっただろうか。

不味い鰻屋を強調するあまり、酒も新香も鰻も、一口食べて後は食べられなくなってしまった。その結果、客がはばかりへ行った後、一八は一人で飲み食いできなくなってしまった。ものには程というものがある。あれは不味いにしても、全然口にできないものであってはならない。

一八が「おれはこの仕事が向かないんじゃないかと思ったこともあった」と述懐するくだり、10円札を出すときに、弟とのエピソードを吐露するあたりは、一之輔の了見を感じさせてくれてよかった。野だいこの切なさをよく描いていたと思う。

解説の京須偕充が「笑いをもうちょっと少なくしていいのではないか」と言っていたが、私も賛同したい。

で、古今亭志ん朝の『鰻の幇間』もDVDで観てみる。同じ落語研究会の高座(1984年)のものだ。

心を奪われたよ。「団菊爺」みたいで嫌だけど、私の世代はこっちだな。高座がきれいでギャグが設定やセンスに頼っていない。笑わせるにしても、あくまで人間で笑わせているんだ。


昼は次男が作ってくれたサッポロ一番味噌ラーメン。久し振り。旨し。


午後、八代目桂文楽の『鰻の幇間』をレコードで聴く。

ああいいなあ。笑いは少ないが、明治大正の香りが濃厚に立ち上る。

今、この噺のサゲは客が一八の下駄を履いて、自分の草履は新聞紙でくるんで帰るという古今亭の型が主流だが、私はそこまでやらない文楽の型が好きだな。あそこまでやると後味が悪い。


妻は昼過ぎまで仕事。二人で夕方ビール。

夕食は鶏の塩麴焼き、肉じゃがで府中誉の燗酒。食後は妻とワイン。

風呂に入って、アイリッシュウィスキー。


一日いい天気で暖かかった。紅葉も大分進んだね。



4 件のコメント:

  1. 息子さんとよくお出かけしている様子が、日記に書かれていますね。古本屋、図書館に行ったり、趣味が合う仲良し親子ですね。お家で、「ねえ、お父さん落語やって」とか言われることってないんですか?

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  2. 大学生ともなると、「落語やって」とは言いませんね。
    小さい頃は寝かしつけに「寿限無」とか「権兵衛狸」を聞かせていましたが・・・。
    これで酒でも飲めるようになると、嬉しいですなあ。

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  3. ともちゃん2020年11月23日 4:20

    寝かしつけに落語、なんて贅沢・・。

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  4. 熱演はしていません。

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