落語評論家の川戸貞吉氏の訃報を知る。
昭和13年、故古今亭志ん朝と同年生まれの81歳。
私が20代の頃、落語評論で先頭を走っていた人である。
早稲田の落研時代に、若手時代の五代目圓楽、談志、五代目柳朝、志ん朝などと知り合い交流を深めた。卒業後、アナウンサーとしてラジオ東京に就職するが、やがてプロデューサーに転向、様々な演芸番組を担当する。上司には、あの伝説の敏腕プロデューサー、出口一雄がいた。国立小劇場での落語研究会では、八代目桂文楽の最後の高座にも立ち会っている。
『現代落語家論』、『新現代落語家論』、『対談落語芸談』、『五代目柳家小さん芸談』、『落語大百科』、『初代雷門福助楽屋話』など、たくさんの貴重な著作を残してくれた。落語というものの多くを、私は氏から学んだと思う。改めて感謝したい。
『初代雷門福助楽屋話』(2010年:冬青社刊)のあとがきの最後に、このような記述がある。
「まだいろいろな人からうかがったテープが残っているが、もう疲れた。私の〝聞き書き〟や落語に関する本は、これが最後。
やっておきたいことはあとひとつ。私がつけてきた〝落語日記〟を公開することだ。何十年もつけてきた日記である。何年かかるかわからないが、私の死後にいじられるのは絶対に嫌だ。だから自分でまとめたいと思っている次第。」
私は「川戸貞吉の落語日記」を読みたい。
氏のご冥福を心から祈る。
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