高山T君に会いに行った。2019年5月、彼が仕事で東京に来た時、浅草で会った以来である。あの時はわずか30分程度の逢瀬であったが、今回は一泊二日の旅となった。
まずは新幹線で名古屋まで。新幹線になんか乗るの久し振りだな。いい天気。富士山がきれいに見えた。
名古屋到着は10時16分。新幹線の改札を出た所でT君が待つ。4年振りになるのか。T君が私を見て「背が伸びたんじゃないのか」と言う。そんなことあるかい。
まずは名古屋の歴史的建造物をみよう、というので車に乗り込み、名古屋市市政資料館に連れて行ってくれる。
名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎として1922年(大正11年)に建てられたもの。1979年(昭和54年)に名古屋高裁・地方裁判所が移転するまで、中部地方の司法の中心がここであった。
大正らしくモダンな造り。特に入ってすぐ正面のステンドグラスは有名で、フォトスポットとして行列ができるほどだという。
この日は平日だったせいか、見学する人もあまりおらず、ゆっくり見ることができた。
私はお向かいのこの建物にも心を奪われましたな。
資料館を出ると11時半。T君のプランでは道を挟んだすぐ隣にある山田屋で昼食をとることになっていた。早めだけど、人気店らしいから入ってしまおう、ということで話がまとまる。
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この素敵な佇まいを見よ。 |
ここでは名物、カツカレー丼を食す。詳しくは「飲んだり食ったり」で紹介するつもりだが、和風のあんかけカレーが絶品だった。
満足満足で店を出る。外には入店待ちの客が何人か立っていた。早めに入って正解だったな。
腹ごなしに名古屋市役所まで歩いて行く。T君によると河村たかし名古屋市長のポスターのキャッチコピーは「気さくな70代」だとのこと。まあ確かに気さくではあるけれど・・・。
さすが大都市名古屋、立派な建物だなあ。すぐ隣には県庁がある。残念ながら改修工事中らしくネットが張ってあったので写真は撮らなかった。いつぞやの芸術イベントでの大村愛知県知事と河村市長とのもめごとは、こんな目と鼻の先で繰り広げられたんだな。
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木々の間に電波塔が見える。おれ、鉄塔も好きなんだよな。 |
昼休みになって役所から職員がわらわらとランチに出掛けるのを横目で見ながら、車に乗り込む。これからいよいよT君の地元、多治見へ向かうのだ。
車中でクレイジーキャッツを聴く。根は真面目な植木等の吹っ切れたボーカルが素晴らしい。クレイジーの代表作の多くの詞を書いた青島幸男は、東京都知事時代、「ホンダラ行進曲」の歌詞を知事室に飾っていたという。「一つ山越しゃホンダラダホイホイ もう一つ越してもホンダラダホイホイ 越しても越してもホンダラダホイホイ どうせこの世はホンダラダイホイ だからみんなでホンダラダホイホイ」というものだ。
改めて聴くと、おそろしく後ろ向きの歌だなあ、ということに気づく。底抜けに明るい曲調にごまかされるけど、実はこの歌の底流にあるのは「虚無」ではないか。二人してそのような見解に至る。
このアルバム、大滝詠一が監修に携わっていることもあって、マニアックな珍品も多い。滋養強壮剤のCMソングがすごい。延々と同じフレーズを繰り返し歌う。まるでプログレッシブロックの延々と続く間奏を聴いているようだ。T君は「プログレのそんな所はフリージャズに影響を受けていると思うよ」と言った。そういやクレイジーキャッツもジャズバンドだ。
やがて山道になり、尾張と美濃の国境のトンネルに入る。トンネルを抜けると、そこは岐阜県多治見市である。