「筍が食べたい」って、『二十四孝』の孟宗のおっ母さんじゃないけどね。
晩春から初夏にかけてのこの時期、私がこよなく愛していたのが、鰹の刺身と筍の味噌汁なのである。しかも、うちの裏山では筍がわんさと生える。本来なら新鮮な筍が食い放題なのだ。
でも、今年はもう駄目だな。この辺で採れる筍から、基準値を超えるセシウムが出ている。両親は「おれらはもういい」と言って食べている。これがまた、「今年の筍は旨い」んだとさ。だからと言ってさあ、子どもがいる食卓に上らせる訳にはいかないよなあ。
妻の好物だからと言って、両親が椎茸を作っていたけど、これも同じ理由で駄目。この間、近所を車で走っていたら、椎茸が山になって捨てられているのを見た。ああいうのを見るとほんと切なくなる。
福島第一原発から150㎞も離れていてこれだ。原発事故が、いかに広い範囲に大きな影響を及ぼすか、私たちは身を以て体験しているはずなのに…。そして、それがこれからどうなるのか、今もまるで分らないままなのに…。清志郎じゃないけど、「何やってんだ、冗談じゃねえ」だ。
筍が食べられる時期は年に1度だけ。セシウムの半減期は30年。かつては「おれは、あと何回筍が食えるだろう」と思っていたけど、今は「うちの筍が食える日は来るんだろうか」なんだよなあ。
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