翌朝は快晴。T君は「筑波山に登りたい」と言う。
東筑波パープルラインを通って行く。つつじヶ丘駐車場には9時前に着いた。
ロープウエイの始発は9時20分。ちょっと土産物を見てから女体山頂へ。
上は前の週に降った雪がぱきんぱきんに凍っていた。つるつる滑って危ないこと、この上ない。
風が冷たい。
海抜877m。日本百名山中、いちばん低い山だが、関東平野の真ん中にぽつんと立つ弧峰である。眺望は素晴らしい。晴れている割に遠くが霞んでいたのが、ちと惜しかった。
御幸ヶ原に下りて男体山へとも思ったが、道が凍結していたのでやめる。無理はしない。
山を下りて、それから常磐道に乗り東海村へ向かう。
日立南インターで下り、久慈川の河口を渡って、東海第2原発の前を通る。震災の時、あと津波が40センチ高かったら、大変なことになっていたという。この30km圏内には100万人が住んでいる。深刻な事態になったら、果たして住民避難なんてできたんだろうか。
原子力科学館を見学。入場無料。原子力がいかに我々の生活に貢献しており、安全に管理されているかという内容。まあ予想通りだ。建物はきれいだし、駐車場はバスを何台か止められるようになっている。金がかかってるねえ。安全だということを、金をかけて殊更に宣伝しなければならないということに、どうしても胡散臭さを感じてしまうよなあ。
別館は1999年に起きた、JCO臨界事故の展示がある。事故の経過をまとめた映像を見たが、ひでえ話だな。効率は安全に、簡単に優先するんだな。福島がああいうことになった今でも、原発を早く動かせ、という声は少なくない。
昼は茨城のご当地ラーメン、スタミナラーメンを食べることにする。
この辺でスタミナといえば、ひたちなかの「寅さんラーメン」だ。国道6号線沿いにあるので、道も分かりやすい。
私も行くのは2回目。家からだと、ちょっと遠いからね。
行ってみると、もはや満席。10人ほどが空席待ちをしていた。まあこういう店は回転が速い。人数の割には30分くらいで座ることができた。
スタミナラーメンと餃子を注文。ここはスタミナが売り物で、スタミナラーメンを筆頭に、スタミナ冷やし、スタミナ焼きそば、スタミナ丼というラインナップ。どれもレバー・かぼちゃ・キャベツを炒めた甘辛い餡をかけたもの。こいつが癖になる。
厨房は完全な分業制、餡を作る人、麺を茹でる人、仕上げをする人、餃子を焼く人がせっせと働く。客は引っ切り無しにやって来るので、餡は作り置きだが、結局出来立てが載せられる。
ネットの口コミでは賛否両論あるが、これはこれで旨いよ。確かに麺は柔らかいが、餡かけは往々にしてそんなもんだ。T君も「昔からの普通の中華屋の麺は柔らかいものだよ」と言っていた。
満足満足で店を出る。T君は「途中でそぼろ納豆を買いたいなあ」と言うので、スーパーに寄って帰ることにする。
また、隙を見てどこかへ行こう。それまでお互い、日常をしっかりやっておこうな。
T君が無事に着いたとメールをくれたのは、夜の10時になった頃だった。