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2014年12月11日木曜日

かっこいいスキヤキ


この間、妹の所からお歳暮でいいお肉を送ってもらい、すき焼きにして食べた。
家で食べるご馳走と言えば、何と言ってもすき焼きですな。

「今日はすき焼きだよ」と言うと、「やったー」と喜ぶ子どもの顔が連想される。
つげ義春のマンガに『池袋百点会』というのがある。これは文学青年崩れの井守さんが、、彼の情婦福ちゃん、つげがモデルと思われる主人公津部とともに、池袋のPR誌を立ち上げようとするという話だ。プロの営業マンを新聞広告に募集したところ、やって来たのが須山さん。津部は、この須山さんと広告取りに回るのだが、その時1軒だけ取れた広告料で、須山さんは「お祝いしましょう」と言って、津部を、板橋にある粗末な家に招き、一人息子とすき焼きを食べるのだ。結局、この須山さんは、自分で取った広告料を全てネコババしてドロンを決め込むことになるのだが、このすき焼きの場面がなかなかしみじみしていいのだ。
女房に逃げられた須山さんが、一人で留守番をしていた息子にすき焼きを作ってやり、「すき焼きなんて久しぶりだなあ、貞夫」と話しかける。丸い卓袱台の上に七輪を載せて、鉄鍋で肉を煮る。傍らにはビールの大瓶が2本。「あの、これ勧誘したお金で」「井守さんに報告しないと」とうろたえる津部は、「これ1回きりお祝いですよ」と言われ、須山さんの生活に同情し大目に見てしまう。
この場面では、やはりすき焼きが一番しっくりくるよな。

落語の方でも、春風亭柳昇の新作にも『すき焼き兄妹』というのがあった。兄妹の再会の場面でのメニューは、やはりすき焼きなのだ。
桂文楽の『明烏』の枕の牛鍋を食べる場面なんか、ほんとに旨そうだったなあ。

米久だの今半だのという名店もあり、砂糖と醤油で焼くもんだとか割り下でさっと煮るもんだとか、色々流儀もあるけれど、もともとはざっかけない食いもんだと思う。
何より鍋物は皆でわいわい言いながらつつくのがいい。それに加えてすき焼きの場合は、「今日は特別」感があるのがまたいいのよ。
そんでもって、翌朝のくたくたになった葱とか肉の欠片なんかを煮返して、卵でとじて飯にかけて食うなんざもう堪りませんな。ね、米久、今半じゃこれができないでしょ。
ちなみに、豚すきとか鶏すきなんてのも、また旨いんだよねえ・

生卵に絡めて食うのが好き。

近江牛。このサシ!




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