つくば市で行われた地域寄席「とまと演芸寄席」を観に行く。
常陽リビングに案内記事が載っていて、大学の先輩のお二人、落語家の桂小文治さん、江戸文字職人でアマチュア落語家の鶯春亭梅八さんと、梅八さんの娘さんで浪曲師の国本はる乃さんが出演するという。早速、電話して前売りを予約した。
当日は、少し早めにつくばに入り、Q’tのサイノでランチ。ヒンドゥー語が飛び交う中、本格インドカレーのセットを食べる。お好みのカレーは、ラムと豆をチョイスした。
開演45分前に入場。楽屋にご挨拶に伺うと、諸先輩方がずらり。2つ上の歌ん朝さん。3つ上の四代目金瓶梅さん。4つ上(出る入るです)の沙麗宮(しゃれのみや)さんとお友達。さながらS大落研のOB会。昔話に花が咲いておりました。
客席に回ると、普段はダンスホールに使っているスペース。そこに100名ほどのお客が入っている。多くは地元のじいちゃんばあちゃんかな。宴会状態になっているグループもある。
サラは梅八さん。大学時代は三代目松竹亭金瓶梅として、私にとっちゃあ伝説の名人だ。私も現役時代、何度かOBの落語会である「昔噺の会」で前座を務め、ご一緒させていただいた。
司会の人が開会を告げるも、じいさんばあさんが思い思いに喋っている中高座に上がり、小噺で落語に引き込んでいく。こういうお客に慣れているのだろう。客前で鍛えた語り。上手いなあ。五街道雲助や古今亭志ん橋に通じる味がある。お日様、お月様、雷様が旅をする小噺。梅八さんは何の噺でも、この小噺をまくらに振っていたっけ。この日もそれは変わらない。何だか嬉しくなった。ネタは『真田小僧』。子どもがかわいいなあ。楽屋で「おれの『真田』はMさん(二代目金瓶梅さん、伝説の名人)譲りなんだ」とおっしゃっていた。
お次は、梅八さんの娘さんのはる乃さん。弱冠21、最年少の浪曲師とのこと。とはいえ芸歴は11年に及ぶ。『将軍の母おでんの方様』を熱演。すごい迫力。客も圧倒されてた。私は生の浪曲は初めて。詳しくは分からないけど、彼女の芸の何と瑞々しく、はちきれんばかりの若さにあふれていたことか。そして人柄の良さも伝わってくる。いいねえ。
中入り後に地元の方(筑波和弘さん)の蝦蟇の油売りの口上が入る。
そしてトリの小文治さん登場。客席の一部は結構酒が進み、宴会モードが加速してゆく。
でも小文治さんは動じない。丁寧に小噺を振った後、得意の『片棒』に入っていく。きれいな高座だな。いかにも本寸法。祭囃子のリズム感、山車の人形の仕草も見事。きちんと笑いを取っていた。思いのほか狭い、ぐらつく高座というハンデキャップもものともせず、あの仕草の多い話を平然と演じ切る。どんな状況でも端正に自分の芸は崩さない。プロはすごいな。きっちり終演予定の3時30分に終わる。
終演後、楽屋でもうひと盛り上がり。楽しかった。梅八さんが歌ん朝さんに「同じ茨城で落語やらないか」と盛んにおっしゃっていたけど、私もまた落語やりたくなっちゃったなあ。
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