日本の文化は、どちらかというとオリジナルよりはアレンジである。それが顕著なのは食い物だろう。
カツレツの日本化したものがとんかつ。そのとんかつのアレンジメニューとしてナンバーワンに輝くのが、何と言ってもかつ丼だろう。
それについては、随分前に記事にした。(カツ丼はさらに重く運ばれて来た)
しかし、今回、ここで話題にしたいのは、かつ丼ではない。カツカレーである。
カツカレーは、かつ丼ほどの工夫はない。かつ丼が甘辛の醤油ダレで卵にとじて、思いっ切り和食に引っ張ってくるのに対し、カツカレーは、カレーライスに載せただけ。饅頭の皮をパンい代えただけのあんパンに匹敵する直球ぶりだ。しかも、カツとカレー、どちらも日本由来のものではない。それでいて、それを取り合わせたのは、まごうことなく我らがご先祖なのである。ニッポンすごい。
学生の頃、学食でよくカツカレーを食べた。学内にいくつかあった学食の中で、とりわけよく食べたのが森永食堂のカツカレーだった。ここは私が所属していた落語研究会の部室があった建物の向かいにあった。カツが三つか四つ載せてあって250円。これにソースをかけて食うのが好きだった。私は当時、「正しいカツカレーの食い方」というマンガを描いた。
カツカレーにおけるカレーの肉の立場は如何なるものになるのか、という視点を提示したのは東海林さだおだった。普段、カレーの主役であった肉が、カツカレーの際には脇役にならざるを得ない悲哀を発見した東海林の慧眼に、私は思わず蒙を啓かれたのだ。
私が食べたカツカレーは、ほとんどカツの上からカレーをかけるタイプだった。しかし、こうするとカツの下は白飯である。だから、皿の上のルーを持って来て食うか、カレーがかかったカツと一緒に食うかの二択を迫られる。まあ、私は何の疑問も感じずに、そのどちらかを選択していた。そもそもカレーがたっぷりかけられていれば問題はないし。
しかし、それを一挙に解決するカツカレーに出会う。それが、鉾田市の洋食亭ときわのカツカレーであった。
ここのは、カレーの上にカツが載せてある。さくさくの揚げたて、カレー味のカツが楽しめ、しかもその下のライスは、既にカレーにまみれているのだ。このカレーがまた旨い。野菜が溶け合ったコクが何とも言えない。色んな味がするんだよ。
いずれにせよ、長い散歩の末に、ビールも飲みてえ、飯も食いてえ、となった時には、何はなくともカツカレー。これを食えているうちは、おれもまだまだ大丈夫である。
ては、カツカレー、いろいろ。
土浦、亀屋 |
鉾田、グリル荒野 |
池袋、キッチン南海 |
石岡にあった日乃屋 |
鉾田、洋食亭ときわ |
2 件のコメント:
どのカツカレーも美味しそうです。私的にはキッチン南海に一票を。カレーに揚げ物トッピングは居酒屋の水着ポスター同様、男心をくすぐりまする。
キッチン南海タイプはソースとからしをつけてとんかつとしてビールのつまみにもできます。
居酒屋の水着ポスターはなくなっても、揚げ物カレーは残りますね。
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