池袋演芸場、8月上席昼の部。柳家小三治主任。超満員。
前座、市也、「牛ほめ」。柳亭市馬の弟子か。
二つ目、柳家ろべえ。喜多八の弟子。師匠譲りのダルな雰囲気。ネタは何やったかまるで覚えていない。何でかな、達者な印象があったのに。
ホームランの漫才。馬鹿ウケ。球児好児、のいるこいるなど漫才の重鎮をネタにする。特に、あした順子ひろしが出色。「馬鹿にしてるだろ」とのツッコミは入るが、何となくリスペクトを感じる。いいぞ、ホームラン。
柳家禽太夫は「替わり目」を丁寧に演じる。
柳家福治、「町内の若い衆」。一頃、その容貌から「たぬき」ばかり演っていた。その当時は正直、あまり好きなタイプではなかった。あの頃から、少し痩せたかな。いい出来だったと思う。
花島世津子の手品。若くはないが、かわいらしい。客席がなごむ。
柳家喜多八、「へっつい幽霊」。トリネタでもおかしくない。ダルな雰囲気とは裏腹に攻めてきたなあ。いいよお。情けない幽霊がいい。
続いて柳家小里んが「碁泥」。これもいい。柳家本流の味。容貌が五代目小さんに似てきたなあ。
ここで鏡味仙三郎社中の大神楽。よく見えないのがつらい。
仲トリは林家正蔵、「子猫」。鳴り物をちょっと入れてしっとりと演じる。襲名当時は水増し感がしたものだが、精進していると思う。枕で真打ち昇進試験の話をしていた。正蔵がこぶ平で受けた試験では、こぶ平・きん歌(現三遊亭歌之介)が合格、古典の本格派である志ん八(故古今亭右朝)が落ちて物議をかもし出した。正蔵は「小三治師匠が推してくれた」と言っていたが、彼は色々な人に引き立てられていたんだなあ。
くいつきは柳家三三。またしても「高砂や」。この中に出てくる「あっしは西洋料理がでえ好きなんですよ。特にハムカツ。」「もっと上等な料理が出るよ。」「じゃあヒレカツ?」「カツから離れなよ。」というくすぐりが好き。思わず、帰りにハムカツ買っちゃったよ。
柳家さん喬が「棒鱈」を出してくる。得意ネタだ。これを私は旧池袋でよく聴いた。二つ目当時から上手かった。昔からかちっとした楷書の芸だったが、今は風格が漂っている。枕で「私のトリの時はこの三分の一ですよ。」と言っていたが、何の何の、寄席派の第一人者だ。今が聴き時の一人だと思う。
膝代わりは林家正楽の紙切り。「相合い傘―ミッキーミニーバージョン」という難物を見事に切った。
そしてお待ちかね、柳家小三治。枕では冷房に関する不満をひとくさり。その後、エチオピアの日焼けの話へとつながってゆく。いつものことだが、行きつ戻りつしながら、ひたすら脇道に入っていくが如き随談がいい。司馬遼太郎の随筆に通じる。やがて浅草奥山の話題、若い頃、古着屋で扇子の紋の紋付きを値切って買った思い出から、見せ物小屋へとつなぎ、「一眼国」へと入っていく。ネタとしては、あまり力を入れたものではない。体調も万全とは言えなさそう。でも、何と言っても小三治だ。現在生で聴ける、(もちろん好みは人それぞれだが)最も良質な東京落語を演じる落語家だと私は思う。今はそれを聴くことが出来る喜びをかみしめよう。
ただなあ、随分敷居が高くなっちゃったなあ。寄席に行くといつも「小言念仏」を演っていた30年前が懐かしいよ。小三治の責任じゃないのは十分、分かっているけどね。
前座、市也、「牛ほめ」。柳亭市馬の弟子か。
二つ目、柳家ろべえ。喜多八の弟子。師匠譲りのダルな雰囲気。ネタは何やったかまるで覚えていない。何でかな、達者な印象があったのに。
ホームランの漫才。馬鹿ウケ。球児好児、のいるこいるなど漫才の重鎮をネタにする。特に、あした順子ひろしが出色。「馬鹿にしてるだろ」とのツッコミは入るが、何となくリスペクトを感じる。いいぞ、ホームラン。
柳家禽太夫は「替わり目」を丁寧に演じる。
柳家福治、「町内の若い衆」。一頃、その容貌から「たぬき」ばかり演っていた。その当時は正直、あまり好きなタイプではなかった。あの頃から、少し痩せたかな。いい出来だったと思う。
花島世津子の手品。若くはないが、かわいらしい。客席がなごむ。
柳家喜多八、「へっつい幽霊」。トリネタでもおかしくない。ダルな雰囲気とは裏腹に攻めてきたなあ。いいよお。情けない幽霊がいい。
続いて柳家小里んが「碁泥」。これもいい。柳家本流の味。容貌が五代目小さんに似てきたなあ。
ここで鏡味仙三郎社中の大神楽。よく見えないのがつらい。
仲トリは林家正蔵、「子猫」。鳴り物をちょっと入れてしっとりと演じる。襲名当時は水増し感がしたものだが、精進していると思う。枕で真打ち昇進試験の話をしていた。正蔵がこぶ平で受けた試験では、こぶ平・きん歌(現三遊亭歌之介)が合格、古典の本格派である志ん八(故古今亭右朝)が落ちて物議をかもし出した。正蔵は「小三治師匠が推してくれた」と言っていたが、彼は色々な人に引き立てられていたんだなあ。
くいつきは柳家三三。またしても「高砂や」。この中に出てくる「あっしは西洋料理がでえ好きなんですよ。特にハムカツ。」「もっと上等な料理が出るよ。」「じゃあヒレカツ?」「カツから離れなよ。」というくすぐりが好き。思わず、帰りにハムカツ買っちゃったよ。
柳家さん喬が「棒鱈」を出してくる。得意ネタだ。これを私は旧池袋でよく聴いた。二つ目当時から上手かった。昔からかちっとした楷書の芸だったが、今は風格が漂っている。枕で「私のトリの時はこの三分の一ですよ。」と言っていたが、何の何の、寄席派の第一人者だ。今が聴き時の一人だと思う。
膝代わりは林家正楽の紙切り。「相合い傘―ミッキーミニーバージョン」という難物を見事に切った。
そしてお待ちかね、柳家小三治。枕では冷房に関する不満をひとくさり。その後、エチオピアの日焼けの話へとつながってゆく。いつものことだが、行きつ戻りつしながら、ひたすら脇道に入っていくが如き随談がいい。司馬遼太郎の随筆に通じる。やがて浅草奥山の話題、若い頃、古着屋で扇子の紋の紋付きを値切って買った思い出から、見せ物小屋へとつなぎ、「一眼国」へと入っていく。ネタとしては、あまり力を入れたものではない。体調も万全とは言えなさそう。でも、何と言っても小三治だ。現在生で聴ける、(もちろん好みは人それぞれだが)最も良質な東京落語を演じる落語家だと私は思う。今はそれを聴くことが出来る喜びをかみしめよう。
ただなあ、随分敷居が高くなっちゃったなあ。寄席に行くといつも「小言念仏」を演っていた30年前が懐かしいよ。小三治の責任じゃないのは十分、分かっているけどね。
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