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2011年12月13日火曜日
鯉は旨し
この前鹿嶋に泊まった時、宴会は神宮の参道にある料理屋でやった。
その際、鯉のうま煮が出たのだが、若い人の中には初めて鯉を食べるという人もいて、ちょっと驚いた。
霞ヶ浦を抱えるこの茨城にあって、鯉はけっこうなご馳走なのだ。鯉ってそれほどポピュラーな食べ物ではなかったのかね。
ともかく、鯉のうま煮が出た。鯉を筒切りにして甘辛く煮たやつだ。旨かったねえ。家庭で作るより洗練されてる。川魚特有の臭みがまるでなかった。真子(卵巣)がまた旨い。これが入ってないと、ちょっと寂しいんだよなあ。
ただ気をつけなきゃいけないのは、この魚、骨が多い。しかも、その骨が鋭く二股になっていて、喉にでも刺さった日にゃ堪ったもんじゃない。まあ、骨のあるところは決まっている。特に背中に小骨が多いので、そこさえ気をつければ大丈夫だ。
落語にもいくつか鯉料理が登場する。
まずは『青菜』の鯉の洗い。植木屋さんがご隠居さんに勧められて、柳影を飲みながら洗いを食べる場面が、この噺のハイライトである。鯉の身を薄く切って、水で締めて氷の上に載せる。これがこりこりと身が引き締まってもう絶品。こいつをうちの方では酢味噌でいただく。生姜醤油でもいいけどね。噺の中で植木屋さんはどっちで食べたんだろう。
それから、八代目桂文楽が『締め込み』や『やかん泥』の枕でやっていた泥棒の小咄。料理屋に強盗が入るやつだ。泥棒先生、仕事を済ませた後で、「腹が減ったから飯を食わせろ」と主に言いつけ、たらふく食うのが、鯉の洗いに鯉こくである。鯉こくというのは鯉を筒切りにして煮込んだ味噌汁。これはあまり食べたことない。昔、米沢で鯉こくの缶詰を買って食べたっきりだ。うちの母親は作ったことがなかったなあ。
『二十四孝』では、八五郎がおっ母さんに鯉を食わせようとする場面がある。おっ母さんは、にべもなく「川魚は泥臭くって嫌いだよ」と言うんだけど、実はうちの母も妻も鯉は苦手。父も二人の息子も私も大好物なのに。我が家では、はっきりと男女で好き嫌いが別れてる。鯉って男の味なのかねえ。
写真は鹿島神宮参道、宴会をやった店の近くにある蕎麦屋さん。こっちもなかなか渋い造りだねえ。
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