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2017年12月5日火曜日

扇歌、その他の雑談

前々回話に出た、七代目都々一坊扇歌について詳しいことが分かったので書いておく。
『いしおか 昭和の肖像』では、盲人らしい初老の男が、羽織姿で三味線を弾いている写真があった。彼が七代目扇歌であるのは間違いない。
その人が、『古今東西 落語家事典』(平凡社)に載っている。
本名、天野春吉。明治23年3月生まれ。昭和60年6月7日没。
7歳ごろ失明。初め三代目柳亭燕路の弟子となり勝丸。明治末に二代目三遊亭小圓遊門に移り、小登吹から三代目富士松ぎん蝶を襲名した。昭和27年頃、自ら七代目都々一坊扇歌を名乗る、とある。
石岡の「都々逸祭り」で、彼が扇歌堂の前で都々逸を奉納したのが、昭和27年の11月28日であった。確かに『古今東西 落語家事典』の記述と符合する。
Suziさんからもらった『芸人重宝帳』(昭和46年度版)を見てみたが、都々一坊扇歌も富士松ぎん蝶の名前もない。もうこの頃には寄席に出ていなかったのだろう。
生没年から見ると95歳の長寿を保ったらしい。一体、どのような芸人人生を送ったのだろう。興味がある。

今年、三遊亭小円歌が、二代立花家橘之助を襲名した。こうなると、柳家小菊にも何か大きな名前を継がせたくなってくる。ついちゃあ、八代目都々一坊扇歌なんかどうでしょう。二代目、四代目が女性だったというから、小菊が継いでもおかしくはない。しかも初代の師匠は、初代船遊亭扇橋で、柳家の源流に当たる人である。系譜としても筋が通る。ぜひ、御一考願いたい。

閑話休題。
八代目桂文楽の川柳に、「日本は今各国のたいこ持ち」というのがある。
小心な文楽は、この句が表に出て政府批判と取られるのを恐れたという。武力に依らず、世界の国々の間を取り持とうという態度は実に立派で、政府批判になんかなり得ない、と私などは思うのだが、戦時中の言論統制を経験した文楽には、この程度のことでも恐れるに十分だったのかもしれない。
むしろ、今や「アメリカのたいこ持ち」、「トランプのたいこ持ち」という状態。しかも、江戸の昔、政府批判に対する攻撃は、鹿野武左衛門や初代都々一坊扇歌の時のようにお上から降ってきたものだが、今は横から弾が飛んで来るからなあ。
文楽師匠、今の方がやばいっす。

紅葉もそろそろ終わりだねえ。


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