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2024年6月7日金曜日

桂小文治十八番創りの会

先日、「桂小文治十八番創りの会」に行って来た。小文治さんは私の落研の先輩である。ちょうど土曜出勤の代休がもらえたので、いそいそと新橋へ向かう。

18時30分、開場。開口一番で桂しゅう治が上がる。ネタは『権助魚』。はっきりと明るい口調。

お次は桂小右治、『牛褒め』。とんとんとリズムテンポでもっていくわけではない。とぼけた感じが持ち味。十代目文治の型の『牛褒め』、懐かしいなあ。私が覚えた『牛褒め』だ。しかも亭治時代の小文治さんのテープで覚えたのだった。

ここで、小文治さん登場。『死神』をたっぷり。後半では照明を落とし、三味線のはめものが入る。演出はもちろんだが、何と言ってもその話芸が素晴らしい。きっちりした型が見事。人物の造形、仕草、ひとつひとつが行き届いている。

中入り後は小すみさんの三味線漫談。玉川スミの思い出話、プッチーニの『蝶々夫人』に、『越後獅子』などの邦楽のメロディーが入ってくる経緯を熱く語る。この人は本当に邦楽が好きなんだなあ。シメに『奴さん』を賑やかに踊る。

トリは小文治さんで『船徳』。きれいな高座だなあ。丁寧な人物描写。しっかりとした台詞回しに、表情での演じ分け、仕草の美しさはもう今さら言うまでもあるまい。小文治さんの芸は明快だ。三代目金馬に通じる。ただ金馬の豪放さはない。しかし繊細で緻密だ。六十代後半を迎え、円熟の境に入りつつある。まさに今が聴き時である。

小文治一門には我らがボス、梅八さんの娘、浪曲師の国本はる乃が加入した。層が厚くなったな。「十八番創りの会」でも、はる乃さんの浪曲が聴けることを楽しみにしていようと思う。

では、一門の繁栄と、小文治さんの益々のご活躍を祈って、今日もウィスキーで乾杯、といこうかね。

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