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2011年7月20日水曜日

寄席の日

落研では、週に1度、昼休みに校内寄席を開いていた。
教室を借りて、そこに高座を作る。当然準備のために時間がいる。そこで、その日は11時半の集合になる。
高座を作るためにはいくつか用意するものがある。金屏風が2枚。大太鼓。〆太鼓。座布団。毛氈。ガムテープ。めくり台とめくり。ネタ帳、墨汁、筆。出囃子のテープとラジカセ。これを1年生が手分けして運ぶ。しかも、全力疾走だ。金屏風は男が担ぐ。これが重い。手が足りないときは、大太鼓を肩に担ぎ、〆太鼓を手にぶら下げて走る。毎週水曜日は、このように学内を落研の法被姿で走る1年生の姿を必ず見ることが出来た。
大急ぎで高座と客席を作ると、呼び込みへ走る。「落語いかがですか」と客を呼ぶ。
太鼓を覚えると、呼び込みをやらずに済んだ。まず一番太鼓を入れる。ドンドンドントコイと打つ、プロの寄席で開場を知らせる太鼓だ。そして、お客が入ると、2人組で二番太鼓を打つ。これもプロの寄席で入れる開演を知らせる太鼓である。一番も二番も、プロのものよりは少し叩きやすいようにアレンジしてあった。二番が終わると、シャギリの太鼓を入れて、前座の上がりを流す。
出演者は前座、二つ目、真打ちの3人。持ち時間は1人10分~20分といったところだ。お客はいつも10人ほどは入ったと思う。真打ちの時は、呼び込みも入って噺を聴く。私が1年の時の4年生では、金瓶梅さんの『だくだく』『勘定板』、紫雀さんの『無精床』『蜘蛛駕籠』、艶雀さんの『もぐら泥』、一生楽さんの『寄合酒』、小柳さんの『権助魚』などが心に残る。
真打ちの噺が終わると、追い出しを打つ。デテケデテケと叩く。部員は「ありがとうございましたー」と声を張った。
そこから大急ぎで後片づけ。準備の時と同じように、1年生はもろもろのものを担いで部室へと走るのだった。(もちろん出演した前座も着物姿で走るのだが、雪駄は走りづらかったなあ。)

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