ページビューの合計

2011年8月2日火曜日

鈴本演芸場 7月余一会 昼の部


入った時は、前座の途中だった。場内はほぼ満席。この日は余一会で、昼の部は「納涼鈴本特選落語会」という特別番組。顔ぶれも悪くないもんなあ。
春風亭朝呂久、一朝の弟子。ネタは『金明竹』。前座さんらしくない。達者だねえ。
二つ目は三遊亭天どん。枕で芸名に対する嘆きを一くさり。(そういえば落研には牛丼がいたなあ。)『垂乳根』を演るが、そこは圓丈門下、一筋縄ではいかない。言葉が馬鹿丁寧なお嫁さんが、ハーフという設定。例の言い立てに英語が混じる。余計訳分かんない。大ウケ。
和楽社中の大神楽。この日は女の子が一人入る構成。
隅田川馬石の『狸札』が続く。
お次は、三遊亭白鳥が『スーパー寿限無』を披露する。師圓丈の『新寿限無』は元素などの名前を入れたものだが、この『スーパー寿限無』は、ひたすら駄洒落。「ジュテーム、ジュテーム」から「圓朝師匠超すげえ」まで、ひたすら馬鹿馬鹿しくっていい。改めて思ったのだが、白鳥は話芸も達者なのな。だから、面白いんだ。
柳家小菊の粋曲。学生の時は退屈な時間だったが、年を取ってみるといいもんだ。暫し江戸情緒に浸る。
仲トリは柳家権太楼。十八番の『代書屋』で満場の爆笑を誘う。桂枝雀のDNAを感じるが、もはやあれは権太楼ワールドだよなあ。
クイツキは、昭和のいる・こいる。この日はよく歌った。偉そうに見えないが、まさに東京漫才の雄だ。
ここで古今亭菊之丞が登場。未来の名人候補だな。この人と柳家三三、桃月庵白酒を加えた三人が、若手真打ちの三羽烏なのではないか。本格派の三三、才気の白酒に対し、菊之丞は妖しい色気かな。ネタは『紙入れ』。この人ぴったりの噺だ。喝采を浴びて高座を下りる菊之丞の腰に煙草入れが揺れているのを見た。古風だなあ。八代目文楽や三代目三木助みたいだ。菊之丞の、明治生まれの名人たちへの素直なオマージュを感じる。
膝代わりは林家正楽の紙切り。注文がすごい。あっという間に4つ。それでもう持ち時間はいっぱい。大須演芸場の大東両なんか、自分から客に聞いてたぞ。(私はイチローを切ってもらった。これがまた、けっこう時間がかかったのよ。)意外に「招き猫」が難物だったようだ。私も注文したかったが、舌がつって声をかけられなかったよ。(って『火焔太鼓』の甚兵衛さんか。)
トリは三遊亭金馬。膝が痛いのか、釈台を前に置いての高座だ。今年82歳だそうだが、元気だなあ。圓歌とか金馬なんていったところが元気だということに幸福を感じるな。
学生の頃は、この人の軽演劇的な感じやホームドラマのような感じが、生温くって苦手だったが、間違っていた。今の落語界に欠くことの出来ない存在だな。金馬の『七草』を聴くと、本当に正月が来たという気になる。口調や勢いに頼らない芸は、なかなか衰えないものなんだなあ。
ネタは『唐茄子屋政談』。何となくこの噺が聴きたかったので、嬉しかった。本所の叔父さんがいいねえ。吉原田圃での売り声の稽古の場面はカット。この辺の判断は見事だ。あの場面は金馬の芸風には合わないと思うし、カットしたことで噺も引き締まった。
たっぷりと落語を楽しめた。満足、満足である。

0 件のコメント: