日暮里で降りたのが昼近くで、早めにお昼にしたかったのと、雑誌『東京人』で林家正蔵が連載している「四時からの悦楽」で紹介されていたのが、頭の隅に引っかかっていたのが、その動機であった。
「夕焼けだんだん」を下って、谷中銀座から左へちょっと入った所に「一寸亭」はある。
場所は知っていたが、入るのは初めて。私は人見知りをする性質だが、店に関しては割と平気。がらっと入って、カウンターに座る。
12時前とあって、先客は5人ほど。まずはビール。キリンとアサヒと両方あると言うので、迷わずキリンを選ぶ。つまみには味付けメンマ。これが旨い。
「四時からの悦楽」では、正蔵は中華風冷奴で生ビールを飲んでいたが、私は昼飯、ささっと食事にしよう。こういう中華屋では、餡かけ系にそそられる。もやしそば、800円を注文。
ほどなくやってきた「もやしそば」がこれ。
正蔵の食べ物やジャズに関する文章は、けっこういい。彼は昔、こぶ平時代に『通になりたい』という本を出していた。これを立川左談次がネタにして「あのこぶ平が気取りやがって」的な切り口で、大いに笑いを取っていたけど、今はそんな臭みもなくなってきたな。何より普段からいいもん食ってるからね。旨い店をよく知ってるよ。正蔵の舌は信用していい。
厨房を見れば、同じような顔をした男が三人、鍋を振るっている。こういう人生もいいなあ、とふと思いましたよ。
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