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2010年12月8日水曜日

あれから30年が経った


ジョン・レノンが死んで、今日で30年。
あの日、私は大学の落研の仕事があり、どこかで落語を演っていた。
帰りは、武蔵小杉まで東横線に乗り、そこで南武線に乗り換えた。
寒い夜だった。人気のない南武線のホームで、なかなかやって来ない電車を待った。
何だかとても疲れていたような気がする。
ぐったりして川崎のアパートに帰り、炬燵に入ってラジオをつけた。
すると、いきなりジョンの曲がかかった。
その年、ジョンは5年間の沈黙を破り、音楽活動を再開していたので、私はてっきりそのための選曲だと思っていた。
しかし、曲が終わるとDJはこう言ったのだ。
「今日亡くなったジョン・レノンさんの…」
とっさに私は聞き間違いだと思った。だが、事実を確かめるのが怖く、そのままラジオのスイッチを切って蒲団に入った。
次の日、落研の部室で後輩が読んでいた新聞を見せてもらった。社会面にジョンが死んだことが載っていた。
「本当だったんだ。」と私が呟くと、後輩は「信じてなかったんですね。」と言った。
その日はまっすぐアパートに帰った。コンビニでたったひとつ残っていたスポーツ新聞を買った。「ロックの帝王レノン死す」という青い見出しが踊っていた。
あれから30年が経った。私はジョンの歳をとっくに追い越した。思えば遠くへ来たもんだ、今では女房子ども持ち、か。
かつてジョンは「想像してごらん、国境などないって」と歌った。そして今、世界は市場経済のグローバル化によって画一化されようとしている。だけど、ジョンはこのような形で国境がなくなることを、果たして望んでいただろうか。

写真は現在の尻手駅。あの日、私はこの道を、思い詰めたような表情でアパートに向かっていたのだな。

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