以前、大福さんも書いていたが、私も合宿について書いてみる。
落研の合宿は、年に3回。GWの春合宿、9月初めの夏合宿、2月の冬合宿だ。
夏は伊豆は河津のいわたに旅館、冬は伊豆長岡の東や旅館と決まっていた。
春は特に定宿はなく、渉外係の腕の見せ所だった。私が1年の時は草津、2年は房総の千倉、3年は小諸、4年は江の島だった。
落研の合宿で何をやるかというと、これが落語をやるのだ。1日に2、3回、発表会と称し、ひたすら落語をやるのだ。しかも、真打が上がるまで正座で噺を聴く。詳しくは大福さんのブログの中の「冬の正座」という記事に書いてあるように、これが本当につらいのだ。
朝は発声練習。もちろん1年生は全力疾走で練習場所に向かう。夏はすぐ近くの海岸だったからいいが、冬は宿の裏山だ。上り坂をけっこう走る。途中、鶏を放し飼いにしてある家があり、鳥が苦手な夕姫さんがいつも大騒ぎしていた。
合宿というのは、文字通り部員が寝食を共にする。当然、1年生は礼儀作法を叩き込まれることになる。スリッパを揃える。お茶を入れる。お茶を入れるのにもやり方がある。急須から茶碗に注ぐのに、2回に分ける。1回急須に注いだお湯は、きっちり使い切る。
そうそうご飯のお給仕の仕方も、大福さんが詳しく書いていた。先輩から「おかわり」と言われてはいけない。常に気を配り、先輩の茶碗が空になるころに、正座して両手でいただく。ご飯は2度に分けてよそう。茶碗の半分ぐらいふわっとよそわなければならない。
このご飯のよそい方は、実は八代目桂文楽の好みなのだ。文楽は大ぶりの茶碗にご飯をちょっとだけよそってもらうのが好きだった。五代目柳家小さんが文楽の預かり弟子となって給仕をしたとき、文楽がちょっとだけよそったご飯を何度もおかわりするので、面倒になって、てんこ盛りにして出したところ、「君ねえ、こういうのはちょっとずつ食べるのが旨いんですよ」と言われたという。私はこのエピソードを知っていたから、こういうふうにするのだと教えられたときは、けっこう嬉しかった。多分、圓蔵師匠経由の教えなのだろう。私たちは黒門町の孫弟子なのだと改めて思えたものだ。
大福さんのメモでは、夏合宿は5泊6日に及んだという。そんなに長かったんだ。その間、表に出るのは朝の発声練習ぐらい。最終日1日前の午後にリクレーションと呼ぶ外出があるのだが、それまでは基本的に宿の中で過ごす。いい若い者がずっと屋内にいるのだ。当然ストレスが溜まる。何で解消するかというと、後輩を脱がすのだ。(もちろん男子部員に限る。)中には自分から脱ぎ出す奴までいる。何かってえと裸になるという柳家小さん一門か。しょうがねえなあ。
合宿についてはまだまだ語り尽くせないな。近いうち続編を書きます。
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