常陸太田を歩いた後は水戸に戻り、偕楽園に行った。
好文亭に上る。
いい眺めだねえ。入場料200円払えば、斉昭公と同じ眺めを見ることができるんだから、いい世の中になったものだ。
できれば座敷を開放してもらって、飲み食いしながらこの眺めを堪能できると、言うことなし、なんだけどね。
好文亭の楼上に掲げられている額。
好文亭全景。
偕楽園内にある正岡子規の句碑。
「崖急に梅ことごとく斜めなり」
なるほど、本当に皆、見事に斜めですな。
偕楽園に始めて行ったのは、小学校に入る前だった。確か親戚とうちの家族とで行ったのではなかったか。行楽日和で結構な人出だった。
そこに白い服を着た傷痍軍人が物乞いに出ていた。
私の顔に怯えが走ったのを見て取ったのか、父は「あいつら補償金を貰っているんだ」と言った。
その実、彼らは旧植民地出身者で、日本が戦争に敗れ植民地支配を放棄したのに伴って、日本国籍を失っていた。国は日本人として従軍した彼らに対し、彼らが現在日本国民でないことを理由に補償金を与えなかった。そのことを私が知ったのは、それからずっと後のことであった。