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2017年8月16日水曜日
夏休みの宿題 CDブック『完全版八代目桂文楽』を聴く①
盆休み、妻の実家の新盆で1泊する以外は、ずっと家にいた。
そこで自らに夏休みの宿題を課す。いい機会なので、CDブック『完全版八代目桂文楽』(1988年7月20日刊)全巻を聴いてみることにした。
CD9枚に27演目。10巻目はインタビューや対談他、珍品『子ほめ』全編と、『小言幸兵衛・『品川心中』のサワリが収録されている。
27演目は全てTBSの音源。いちばん古いもので『愛宕山』(1954年1月7日放送、当時文楽61歳)、いちばん新しいものは『星野屋』(1968年7月19日放送、当時文楽75歳)である。
1958年(昭和29年)といえば、文楽が『素人鰻』で芸術祭賞を受賞した年。八代目橘家圓蔵が「昭和29年に芸術祭賞を『素人鰻』で取った時の黒門町の芸はすごかったなんてもんじゃない」と言っている。そして2度目の芸術祭賞を『富久』で受賞したのが1966年(昭和41年)。つまり、このCDブックは、文楽の円熟期のほとんどをカバーしているといっていい。
しかも、放送月を見ると、ないのは2月だけ。ちなみに2月、初午時期の噺である『明烏』は6月3日に放送されているので、本来は全ての月で全て異なる噺での上演が可能であった。文楽は持ちネタは少ないが、その時々で季節感のある噺を用意することができたのだ。
当時のTBSのプロデューサーが出口一雄。五代目三遊亭圓楽は川戸貞吉編『対談落語芸談2』の中でこんなふうに言っている。
「季節感のある噺が多かったもんですから、夏ンなると『船徳』に『酢豆腐』、ね? 冬ンなるとなにッていうふうに、ピシャアァッと頭ン中で出口さんが計算して、出してましたね。」
まさにそれを実証していると思う。
まとめて聴いてみて、新たに気づいたことが幾つかある。それについて、思いつくまま書いてみたい。しばらくの間、お付き合いのほどを願っておきます。
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