12時半過ぎ入場。客席はほぼ埋まっていた。後ろの方に空席を見つけて座らせてもらう。
高座には二つ目の古今亭菊次が上がっている。ネタは新作。奥様方の陰口の噺。その場にいない人の悪口って、どうしてこんなに盛り上がるんだろうね。
古今亭菊太楼は『長短』を堅実に演じる。男の友情の噺。二人とも仲がいいよねえ。
お次は夫婦漫才、おしどり。女の方がアコーデオンを弾いて歌い、男の方が針金細工をするというスタイル。夫婦漫才だから、夫より妻が強いのは最早定番だ。夫はにゃんこスター、妻は内海桂子かあした順子みたいな感じ(ずっと若いけどね)。「いちばん遠くから人に針金細工を進呈」と客席に呼びかける。自分から「田舎から出てきました」と名乗り出る人は少ないわなあ、と茨城県からやって来た私は思った。
春風亭一之輔登場。客席からは「待ってました!たっぷり!」の声が掛かる。ネタは『新聞記事』。売れっ子のオーラは輝くばかりだが、本質的には引きの芸。どこか小三治の匂いがする。
古今亭菊生が、父圓菊の出囃子「武蔵名物」で高座に上がる。ネタは『権助魚』。
ペペ桜井のギター漫談。おなじみの芸。いつも同じということが尊い。
春風亭百栄は漫談と小噺で客を笑いモードに誘う。怪しい雰囲気は相変わらず。変なオーラが癖になる。
柳家花緑は『あたま山』。この噺を見事に売り物にしたねえ。一時期停滞していた印象があるが、まだまだ暴れているなあ。桂枝雀が向こうに見える。私はこの人の高座に漂う清潔感が好き。
林家正楽がふわふわと現れる。鋏試しに「相合傘」、お客の注文で「ビルマの竪琴」「野ざらし」「流鏑馬」を見事に切ってみせる。
仲トリは柳家さん喬。得意の『そば清』。清兵衛さんの原型は十代目金原亭馬生か。それに加えて小さん譲りの鮮やかな仕草。寄席のさん喬を聴く至福のひと時。
ここで中入り。平日の昼席で立ち見が出ている。
くいつきは古今亭菊之丞。きれいな高座だねえ。色気はあるが、口調は男っぽい。『親子酒』で中入り後のお客を高座に引き付ける。
膝前は林家正雀、『茄子娘』。故入船亭扇橋の得意ネタだった。この人、意外と熱演型だったんだねえ。
膝代わりは漫才、ホンキートンク。東京の漫才も大分世代交代が進んだなあ。面白いっす。
トリは古今亭志ん弥。圓菊門下。1988年真打ち昇進。67歳、落語家としては円熟期だ。風貌が古今亭志ん朝を思わせる。ネタも志ん朝が得意にしていた『鰻の幇間』。この日東京は夏日だった。その暑い中を半日ほっつき歩いて、この噺を聴けたことに感慨深いものがある。古今亭の型、古今亭の口調。骨格がしっかりしている。ただ今回はトチリが目立ったのが残念。特に一八が勘定を払う前、女中相手に愚痴をこぼす場面でもたついたのは(巧く言葉は繋いでいたものの)惜しい。
1日のシメは池袋駅前「三福」のカウンターで一人酒。詳しくはまた「飲んだり食ったり」で御報告します。
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