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2014年8月28日木曜日

鈴本演芸場 八月中席昼の部

上野鈴本演芸場、八月中席昼の部。お盆の特別興行。普段2800円の入場料も、この期間は3500円。
開演前に入る。客はそこそこよく入っていた。(次第にほぼ満席になっていく。)
正しい落語マニアなら、夜の部を選ぶだろうな。まさに円熟期、今が聴き時の柳家権太楼と柳家さん喬が、連日ネタ出しで熱演しているのだ。
私の方は、時間的に昼の方が都合がよかったのと、三遊亭圓歌を聴いておきたかったのと、生きのいい若手が出ていたのと、色々あって昼の部を選ぶ。
前座なし。いきなりジャグリングのストレート松浦が高座に上がる。特別興行には前座は出さないのね。相変わらずの真っ直ぐな熱演。ルックスが元木大介に似ているのに気づく。
二番目に春風亭正朝登場。普通なら二つ目が上がる所で中堅真打が上がる。贅沢な番組だねえ。ネタは『牛ほめ』。明るくて軽くていい。佐兵衛おじさんの話の中で、奉公に行っている娘が出て来る。与太郎にとっては従姉。この設定は初めて聴く。
お次は古今亭菊之丞、『町内の若い衆』。得意ネタだね。『紙入れ』とか、ちょっといやらしい噺がニンに合う。絽の着物に腰には煙草入れ。見事だねえ。この調子で古風な路線を突っ走ってちょうだい。柳家三三、桃月庵白酒に比べて幾分地味だが、この世代の一角を担うに、ふさわしい実力者だと思う。
ロケット団の漫才。レッドカーペットで売れた人たちだが、1分間で消費される芸じゃない。ナイツとともに寄席を大事にして、東京漫才を支えて欲しい。
五明楼玉の輔は、この間も聴いた、がん告知の新作。ネットで調べたら、『財前五郎』というタイトルらしい。
春風亭一之輔、『粗忽の釘』。これも得意ネタ。皆が認める若手のホープ。華があるなあ。声がよくって、リズム、テンポがいい。未来の名人候補だが、変におさまらず、のびやかに笑わせてくれる。器の大きさを感じさせる人だ。
ここで色物。柳家小菊、粋曲。いい女だねえ。この人が落語協会に入った時、先代馬生が「小菊や小菊や」と、いささかのぼせたらしい。しっとりと、そしてちょっと毒のあるトークは健在。しばしお座敷の気分を味わう。
柳家喜多八は、またもや『清水の次郎長、石松代参』の三十石船の件。このネタをモノにしようとしているんだろうなあ。
仲トリで三遊亭圓歌登場。御年85.さすがに老けた。口調はだいぶゆっくりになったし、声量も落ちたとは思うが、それでもしっかりウケは取る。歌奴時代、自らを常陸宮と言っていたのを、本物の常陸宮殿下が知り、「歌奴を見てみたい」と仰せになって、宮中に呼ばれ、天皇陛下はじめ皇族の方々に落語を聴かせたという漫談。三遊亭圓生の御前落語の1年前の話だ。すげえなあ。戦後落語の生き証人、長生きしてもらいたい。
クイツキは江戸家猫八の物真似。きちっとしたきれいな高座だ。
桃月庵白酒、『浮世床』。本の件を達者に聞かせる。上手いなあ。こういう噺で、しっかり笑いを取ってる。
柳亭市馬は『蝦蟇の油』。朗々と歌うが如し。声にかなりの余力がある。いい声だなあ。羨ましい。落語協会会長に就任し、一段と貫録が付いた。50代にして落語界最大の協会を率いるというのはすごい。どこまで大きくなるのか、見届けてみたい人だ。(同い年だし)
膝代わりは林家二楽の紙切り。OHPがかっこいいぞ。しかし、最近OHPって、寄席の紙切りでしか見たことないなあ。
トリは三遊亭歌之助。30分たっぷり漫談。『B型人間』かなあ。かなり色んな要素が入っていたけど。どっかんどっかんウケる。師圓歌が「5秒に1度の笑い」と言われていたけど、今やその枕詞は歌之助のものだろう。しかも、その熱演、サービス精神は圓歌のライバル、初代林家三平を彷彿とさせる。人柄がいいんだろうなあと感じさせる高座だ。このままの勢いで、平成の爆笑王になって欲しい。
中入り後は、白酒、市馬、歌之助と、九州出身者が続く番組だったねえ。

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