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2011年9月7日水曜日
朝日屋
朝日屋。石岡を代表するラーメンの名店だったが、6月いっぱいで閉店となった。震災の影響が大きかったという。
石岡散歩の昼食は、東京庵のもりそばと朝日屋のラーメンをはしご、というのが楽しみだった。
まず、店構えがいいでしょ。まさに昭和レトロ。絵になるよねえ。
暖簾をくぐるとカウンターとテーブル席があって、15人も入ればいっぱいになってしまう。休日には、店の外で順番を待つ客がいたものだ。
メニューは基本的にラーメンとタンメンの2種類。それぞれの豪華版がチャーシュー麺と特製タンメンといった具合だ。この他に餃子とチャーハンがお品書きにあったが、夜限定だったのだろうか、食べている客を見たことがない。
ラーメンは、ナルト、チャーシュー、シナチク、ホウレン草などが載る、昔ながらの醤油味。タンメンは塩味のスープ、豚の細切れと野菜をたっぷり炒めて載せてある。ラー油をちょっと入れながら食うと旨いのよ。
醤油ラーメンもタンメンも、土浦イオンのフードコートの幸楽苑で、そこそこのが食えますよ。でもねえ、朝日屋のラーメンやタンメンは特別なのだ。
食というのは総合芸術である、と私は常々主張している。そう、あの朝日屋の空間で食べるからこそ、あのラーメンは、タンメンは、感動を与えてくれるのだ。
これぞラーメン丼ともいうべき器、油のしみのついたお品書き、調度、店内の佇まい、目の前で静かに繰り返される親父さんの所作、湯気を立てて供される昔ながらのラーメン、何一つ鑑賞に値しないものはない。しかも、どれも一朝一夕に出来上がったものではない。この雰囲気を生み出すためには、何十年という年月の積み重ねが必要だったのだ。本当にかけがえのない店だったな。
いつかはこういう日が来るとは思っていたが、それがこんなに急に来るとは思っていなかった。たきの井食堂といい、震災は、こんなささやかな楽しみまで奪って行ったんだなあ。
親父さん、長い間、旨いラーメンをありがとう。お疲れ様でした。残念です。
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