夕食の後、妻からクリスマスプレゼントでもらったボウモアを飲む。
イギリス、アイラ島産のシングルモルト・ウィスキー。スコットランド西方の海に浮かぶ島からやって来た。その向こうはアイルランドだ。ウィスキーとしてはスコッチウイスキーに分類される。
私はこの酒を村上春樹のエッセイで知った。初めて飲んだ時は癖が強いな、と思ったのだが、今はこれが私のナンバーワン・ウィスキーである。
口に含むと、いっぱいに潮の香りが広がる。北の寒い厳しい海の香りだ。これがいい。
酒場で同僚にも勧めてみるのだが、これが見事に評判が悪い。「目を閉じるとアイルランドを望む海が見えるだろう」と言っても、「いや保健室のホーローの器に入った消毒液が見える」とか「クレゾールの匂いしかしない」と言われてしまう。まあ、これがひと頃は酒の席のネタになったんだけどね。
でも私はこの酒に北の海を思う。中原中也の「海にゐるのは、あれは人魚ではないのです。/海にゐるのは、あれは浪ばかり。」という詩を思い出す。
けっこう高いので、手銭では買えない。だから、クリスマスや誕生日のプレゼントは、このボウモアを軸に選定される。
もう飲み始めてしまったが、クリスマスまでもつんだろうか。きっともつと思うけど。
ちなみに私は水を少し足して飲むのが好き。味が丸くなるような気がする。生牡蠣に垂らして食べる、というのもあるらしい。やってみたいけど、ちょっともったいないなあ。
2 件のコメント:
酔喬さんが、「目を閉じるとアイルランドを望む海が見えるだろう」と言いながらウイスキーを飲んでるのを想像したら、爆笑でした。いや、失礼しました。でも、爆笑。
啓蒙のためには、これぐらいのことは言うのです。
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