楽天ゴールデンイーグルスの渡辺直人選手が今季限りで引退をするという。松坂世代の39歳。でも、松坂大輔は高校時代にはこの選手のことを知らなかったにちがいない。
茨城県立牛久高校の出身。中学時代は軟式野球をしていた。高校での最後の夏は県ベスト16だった。
大学は城西大学へ進む。城西は有名無名を問わず、広く練習会に参加させていた。
それからノンプロの三菱ふそうを経て、2006年、大学生・社会人ドラフト5巡目で楽天に指名された。(同じ年、あのニューヨークヤンキースの田中将大が駒大苫小牧から楽天に入団している。)
知将野村克也に見出され、ショートのレギュラーを獲得する。以来、堅実な守備と勝負強い打撃で楽天の中心選手として活躍した。
2010年、横浜ベイスターズに移籍。その後、西武ライオンズを経て、2018年、古巣楽天に復帰した。今年からは兼任で打撃コーチを務めていた。
こういうのをたたき上げというのだ。朝日新聞で言う、まさに「派手さはないが、求められた役割を堅実にこなし、けがをしても隠してプレーしてきた」選手だった。昨季、春先に右足首を脱臼。それでも彼は試合に出た。テーピングを繰り返したため、かぶれがひどかったという。
「2010年オフに楽天から横浜(現DeNA)に金銭トレードで移る時、楽天の選手たちが報道陣の前で泣きながら惜しんだ。「スポ根」と人情なんてそぐわないと言われかねない時代に、人望が厚く、人間的な魅力にあふれた選手だった」という朝日新聞の文章に、おれは胸が熱くなったよ。
茨城県からも多くのスター選手がプロに進んだ。しかし、同時代の誰よりも渡辺選手はプレーし続けた。野球は人間がするものだ。人間性の素晴らしさは何よりの宝であり、それが渡辺選手の最大の武器だったのだろう。
渡辺直人選手、お疲れさまでした。指導者としてますます活躍してくれることを期待します。
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