朝飯を食って、軽トラで父を助手席に乗せ、田圃へ向かう。
代掻き後の田圃をトンボがけするのである。
昨夜は地元の先輩方との飲み会だった。二日酔いではないが、しっかり飲んだ後の気だるさのようなものが、体の中に残っている。
トンボを担いで田圃に入る。ちょっと風はあるが、よく晴れた。青い空に、ぽっかりと白い雲が浮かぶ。
今時、あまりやらない作業だな。そんな手間のかかるやり方は、田圃一枚しか作っていないからこそできるのだろう。
ただ、父はずっと前からこのやり方をしてきた。一緒に仕事をしていると、父の仕事がいかに丁寧か、分かる。
田圃のぐるりをトンボでならす。高低の差を、なるべくなくすために。広い田圃だから、完全に平らにするのは不可能だ。しかし、やらないよりはやった方がいい。
村上春樹の言う「効率の悪い営為」そのもの。心を無にして、いや、色んなつまらないことを考えながら、作業を続ける。
ただ、この「効率の悪い営為」を繰り返していると、何だか気持ちが落ち着いてくる。
雉の鳴き声が聞こえる。烏が柿の木にとまって仲間を呼ぶ。柿の木は目も痛いほどの若葉を枝いっぱいに広げている。向こうの山では藤の花が満開だ。波紋。水音。泥の匂い。
効率の悪いことでしかなし得ないものがある。効率の悪いことでしか味わえないものがある。そんな考えが心に浮かんでは消える。
午前中いっぱい田圃の中を歩き回り、お終いにする。
苦手な4月。しんどくなってきた頃に、この田圃仕事がある。この世はよくできている。
昼食は次男が作ったじゃじゃ麵。旨かった。
午後はのんびり。
夕食は、鶏の唐揚げ、ポテトフライ、新玉ねぎ丸ごとレンチンバターポン酢、きゅうりの浅漬けでビール、酒。旨し。
食後にカティーサーク。
0 件のコメント:
コメントを投稿