「やはり、ここは三条にも行かねばなるまい」
高山T君のお目当ては商家の建物のようだったが、カーナビでは特定できなかった。行けば何とかなるだろう、と三条市に入る。
よくある地方都市のロードサイドの風景が広がる。新しくて小ぎれいだが、引っかかりがない。燕市が人口7万7千人であるのに対し、三条市は9万5千人 。三条市の方が、幾分、開けた感じがする。
商家のあるという町内に車を止め、歩き始める。相当に暑い。時折、シブい建物にカメラを向けながら歩く。
結局、建物は見つからなかった。一ノ木戸商店街に出た。
中央奥がハーメルン館という、この街のランドマーク。 |
五十嵐川の土手に出る。川の風景はいい。
知らなかったが、この辺りは『DIY』というアニメの舞台になっているらしい。聖地巡礼のための地図もネットで見つけたが、この時には知る由もない。
三条市といえば、ジャイアント馬場の出身地である。馬場は三条実業高校を中退して読売巨人軍に入団した。選手としては目が出なかったものの、引退後、力道山にスカウトされてプロレスラーになった。204センチの巨体を生かして、16文キック、ヤシの実割り、ジャイアントチョップなどを駆使し、トップレスラーとなった。ライバルのアントニオ猪木がストロングスタイルを極めたのに対し、馬場はエンターテインメントとしてのプロレスで観客を楽しませた。
私が子供のころ『ジャイアント・タイフーン』という、ジャイアント馬場が主人公の漫画があった。全国高校野球選手権新潟県大会で、馬場が自身の暴投でサヨナラ負けを喫した場面や巨人軍の宿舎の風呂で転びガラスで利き腕を負傷した場面などをよく覚えている。
方や燕市出身のプロレスラーもいた。旧吉田町出身、「蒙古の怪人」キラー・カーン。奇声を発しながらのモンゴリアン・チョップは鮮烈だった。新日本プロレスのレスラーだったが、後に全日本プロレスに移籍した。ジャイアント馬場と同じリングにも上がったんだな。ジャイアント馬場とキラー・カーンではレスラーとしての格は全然違うけど。
二人とも、もうこの世にはいない。ずいぶん時が流れたんだな。
猛暑に耐え、ぶらぶら車に戻る。
宿に行く前の仕上げ、高山T君が調べてきたシブい喫茶店へ向けて出発。いやあ、車は快適だなあ。
それが燕市殻町、喫茶ロンドン。「あなたのロンドン、わたしのロンドン、ロンドン、ロンドン、ロンドン」という歌が、脳内で再生される。
ねっ、シブいでしょ。店内もシブい。
ここはクリームソーダにした。本当に何十年ぶりだよ。火照った身体をクールダウン。
ゆっくり休んで、店を出る。この辺りの町並みも、またシブい。燕市はシブい。
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