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2012年11月29日木曜日

吉行淳之介『星と月は天の穴』

吉行淳之介『星と月は天の穴』、読了。
タイトルは主人公の小説家が、星をきれいだという女に「あんなものは、空の穴ぼこだよ。」と言い放つ虚無的な言葉に因む。(彼が作中で執筆する小説のタイトルにもなる。)
元ネタは落語だな。親子三人の馬鹿の小噺。
夜空でぴかぴかするものを取ろうとして、竿を振るったり屋根に上ったりする兄弟に向かって親父が言う。「馬鹿、あれは雨の降る穴だ。」それを聞いて母親が「やっぱりお父さんはしっかりしてる。」ってやつ。与太郎噺の枕によく使われる。
それを小説のタイトルに使うというのも、なかなかのセンスだなあ。
話は、40歳の小説家と女子大生の物語。お馴染み、体は合わせるが、心は合わせたくない、吉行的「非人情の世界」である。
『砂の上の植物群』では、ソフトSMが小道具として使われていたが、この作品では何と「入れ歯」。主人公は40歳で総入れ歯、そこに複雑な感情を抱いている。すごい設定だよな。吉行さん、食えない人だ。
この小説に対する開高健の言葉が面白い。「女がオシッコ洩らして、そこからはじまる恋愛小説というのは、古今東西、見当たりませんなあ。」
これが「恋愛小説」かどうかは、作者自身、首をひねっているところではありますがね。

2012年11月28日水曜日

絵を観に行く

午後から休みをもらう。
笠間に絵を観に行く。
途中、蕎麦屋で昼食。寒かったので、温かい種ものをと思っていたのだが、貧乏性の私は天丼セットを頼んでしまう。しかもセットものの場合、私は決まって盛り蕎麦を頼んでしまうのだ。でも、まあ旨かったからいいか。
日動美術館は企画館がお休み。常設館のみの展示となる。
入ってみると、絵の入れ替えをやっている。ちょっと落ち着かないなあと思ったが、考えてみると、入れ替え前と後の両方の絵を観ることができる。お得だな、と思い直す。
マネ、クレー、ピカソ、シャガール、ユトリロ、佐伯祐三など好きな画家の絵を十分に堪能する。
帰りに国道沿いのカフェでミルクティーを飲んだ。窓の外ではすっかり色づいた里山が雨にぬれる。いいねえ。
晩飯は、鶏の大根おろしソース炒め、アグー豚のベーコンとピーマンの炒めもの、蓮根とさつまいもの煮物、刺身蒟蒻で酒。旨し。

2012年11月25日日曜日

ありふれた休日

朝、トーストとかりかりに焼いたベーコン、コーンポタージュスープ。
今日はお出掛けはなし。
いい天気。庭で息子と野球をして遊ぶ。
昼はスパゲティー・ナポリタン。日曜の昼によく似合う。旨い。
ケチャップといえば、昔、牛久に「のぶちゃん」という洋食屋があり、そこのチキンライスが私は好きだった。バターが効いて旨かった。オムライスは時々食べるけど、最近チキンライスを食べる機会がなくなった。
ぽつりぽつりと吉行淳之介を読む。短編集『悪い夏・花束』を読了。『原色の街・驟雨』にとりかかる。甘美な苦悩も、魂を揺さぶる感動もない。あるのは乾いた諦念だ。そこに心惹かれる。
夕食は大根と豚ばら肉の中華風鍋。味付けには胡麻油とオイスターソースを使う。旨し。他に油揚げの焼いたの、シューマイ、モツ煮込みでビール、酒。
特別なことは何もない休日。でも、かけがえのない一日。

2012年11月23日金曜日

「歩道橋の上から愛が見える」―尻手近辺―

この間、川崎を歩いた時の写真。
尻手駅近くの歩道橋からの眺め。
私はこの歩道橋を渡る度、友川かずきの『歩道橋』を連想する。
天気のいい日は、南武線の高架橋の向こうに富士が見える。
私がいたアパートの路地を出た所にあるお豆腐屋さん。
まだ元気に営業中だ。
尻手駅へ向かう道にある仕立て屋さん。何度この看板の下を歩いたろう。 「“超”高級」というのがいいねえ。

2012年11月20日火曜日

風邪の日々

先週の半ばから風邪を引いている。
初めは喉をやられ、今週になって咳が酷くなった。
土曜日には声が出なくなった。熱もなく体は動くし、頭もはっきりしているのだが、声が出ない。立川談志はさぞ辛かったろう。
医者に2回行って、薬も飲んで、やっと快方に向かってきた。
夜は酒も飲めないので、ずっと本を読んでいる。
ここんとこは、吉行淳之介。
代表作『砂の上の植物群』『暗室』を読み、晩年の短編集『目玉』に取り掛かっている。
それにしても、子どもがゲームやったり、妻が雑誌読んだりしている隣で吉行を読むというのも、なかなかスリリングでいいな。

ここで写真をひとつ。笠間稲荷付近のお饅頭屋さん。雨の中、立ち上る蒸気が暖かそうだ。

2012年11月18日日曜日

川崎市八丁畷駅

川崎市、八丁畷駅。
この間、歩いた時の写真。
駅自体は、ずっと変わんない。
JR浜川崎線ホーム。
ここで、昔、小津安二郎監督作品、『お早う』のロケがあったという。
いい感じに錆びてますねえ。

2012年11月14日水曜日

色物伝助

私は落研時代、自分で言うのも何だが、ずっと真面目な古典落語を演っていたのだが、一時期、「色物伝助」と呼ばれていたことがある。
あれは2年の初めの頃。先輩の真打昇進披露寄席で、一度ならず二度までも色物で出演したのだ。
最初は二代目松風亭歌ん朝さんの時。この時は、落語家の形態模写で出た。
はっきり言って、当時、春風亭小朝が演ってたやつの真似。自分なりに工夫は入れてるけどね。新入生勧誘の時、遊びでやっていたのを見て、歌ん朝さんが起用してくれたのである。
レパートリーは、七代目橘家圓蔵、五代目柳家小さん、古今亭志ん朝、立川談志、八代目林家正蔵。正蔵の声色で『藁人形』のサゲを、「糠はいけねえ釘屋の娘。」とやって、八海君に「師匠、サゲが違います。」と言わせ、オチとした。
二度目は初代夢三亭海太郎さんの時。この時は、音曲と称し、ギターの弾き語りでアリスの『チャンピオン』を歌った。
海太郎さんはフォークソングが好きで、よく部室でギターを弾いていた方だが、私が1年の時茶話会で歌った『チャンピオン』を気に入ってくださったようだ。(微妙だが、谷村新司と堀内孝雄の歌い分けもやってみた。)
高座では、海太郎さんも一緒にギターを弾き、酒合丈君が「キンちゃん(矢沢透)」役で二人の後ろに立って手拍子を打ってくれた。
こうやって並べてみると、結局二つともモノマネか。
でも、大学4年間で寄席に出た色物は、この二つだけだったな。皆、生真面目に落語ばっか演ってたんだ。
今の落研は、落語より色物の方が元気らしいと聞く。それもちょっと寂しいなあと思う。

2012年11月12日月曜日

妻とデート

平日の休み。
雨だったが、妻と笠間に行く。
やきものを見て、お稲荷さんにお参り。
菊まつりで、平日なのにそこそこの賑わい。七五三の親子連れがちらほら。こんな時もあったねえ。
工芸の森近くのカフェでランチ。 塩麹のポークソテー。旨し。デザートはほうじ茶のシロップの杏仁豆腐。さっぱりとした甘さ。こちらも旨し。奥様方が次々とやって来る。
内原イオンに寄り道をして帰る。
夕方は、妻が長男を医者に連れて行ったので、次男と遊ぶ。
ゆっくりできた。奥さん、楽しかったよ。

下の写真は雑貨屋で買ったカヌー猫。

2012年11月8日木曜日

はとバスに乗る

宴会の翌日ははとバスに乗る。
東京半日ツアー。皇居、浅草、東京タワーを巡る、王道のコースだ。
東京駅、9時半出発。中高年のおじさんが集う。(失礼、紅一点がいた。)
まずは皇居。小文治さんの芸術祭受賞パーティーで来た時に散歩して以来だ。
ガイドさんから二重橋の由来を聞く。こういう機会じゃないと聞けない話だね。眼鏡の似合う、なかなか美人のガイドさん。いいねえ。
昼頃、浅草に着く。店で昼飯を食うだけの時間はない。小腹が空いたので、屋台のフランクフルトを頬張る。 ちょっとここから、個人行動。仲見世で、妻の好きな人形焼と揚げ饅頭を買う。ここんとこずっと土日が仕事で、仕上げがこのOB会だ。せめてもの罪滅ぼしになるといいけど。
花やしき通りをぶらぶら歩いて、もう集合時間だった。
スカイツリーの足元を抜けて、東京タワーへ。バスの中で、松時君とあぶのう丸君が商売の話なんかをしているのを聞くともなしに聞いていたら、当たり前だけど、皆それぞれに頑張っているんだなあと思ったよ。
東京タワーは、去年の夏、妻子を連れて行ったばっかだけど、いい天気でいい眺めだった。富士山がきれいだったな。
日のあるうちに帰りたかったので、ツアーが終了してすぐに帰ることにする。
三上寛の歌に『さよなら、ああと手を振って』というのがあったが、いいよな、そういうふうに別れるの。
楽しかったよ。力を貰えた。次に会うまで、おれも頑張るよ。じゃあな、みんな、また会おうぜ。

2012年11月5日月曜日

神田の朝、ちょっとだけ歩く

OB会の宴会の後、神田のホテルに泊まった。
翌朝、ロビー集合の前、30分ほど近くを散歩。
神田には、こういう古い建造物がたくさん残っていて、歩いていて楽しい。
おでん屋さん。たぶんもう営業はしていないだろうな。それにしても、シブい。
この建物なんか、凄みさえ感じさせますなあ。
江戸小物屋さんの店先に貼ってあった千社札。 昭和・平成の名人がずらりと並ぶ。
あれ、三遊亭圓生がいないぞ。

2012年11月4日日曜日

OB会に行く

落研のOB会があって、東京に行って来た。
昼のうち、少し足を延ばして川崎へ行く。 西口から、住んでいた辺りをぶらつく。
南河原銀座入り口の所にあるとんかつ屋で昼食。前からあるよな。もしかしたら、友川かずきの『死にぞこないの唄』に出てくる、三上寛と友川が入ったとんかつ屋がここかもしれない。
サービスランチはあったけど、やはり基本のロースカツ定食。休みなのでビールを頼む。これも基本の瓶ビール。昼日中、とんかつをつまみながらビールを飲む。たまんないっす。
尻手の駅までぶらぶら歩き、それから八丁畷へと向かう。ビールを飲むと、小便が近くなる。散歩にはちょっと不便だな。
30年前とは随分変わった。あの頃はまだ東芝の工場があったんだよな。
八丁畷から浜川崎線に乗る。学生の頃は、旧式の茶色の電車だった。誰かが「ゴキブリ電車」と呼んでいたっけ。電車が工場地帯の方からとことこやって来ると、私は決まって泉谷明の『やがて電車が傾きかけてやって来る』という詩を思い出した。
尻手で南武線に乗り換え。登戸へ。向ヶ丘遊園まで歩く。向ヶ丘遊園は、北口の駅舎がかわいい。
川崎、向ヶ丘遊園と昔の生活圏を歩いて当時の気分を味わってから、いよいよOB会に臨む。集まったメンツは私たちの代が一番上で、そこから下の出る入るの代まで。 およそ30年振りに会う顔もけっこういた。
お互い皺が増えて髪が減ったなあ。仕事場や家庭ではそれなりに貫録がついたんだろうが、こうやって集まると瞬時に昔に帰るのが楽しい。
八海君、五里ん君にいい機会を作ってもらった。ありがとう。