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2009年6月9日火曜日

二代目桂小文治

桂小文治さんからDVDを頂いた。
小文治さんは、私の大学時代の先輩である。大学の落研で、私が1年生の時の4年生だった。
落研時代の名前は、夢三亭艶雀。昭和54年の大学落研名人選手権に出場。『もぐら泥』を演じ、本選に残る。ちなみにその時の優勝は、東海大学2年生の頭下位亭切奴、現在の春風亭昇太である。
大学在学中の昭和54年、十代目桂文治に入門し桂亭治の名前を貰う。昭和59年、亭治のまま二つ目昇進。平成5年には二代目桂小文治を襲名し、真打ちに昇進している。
二つ目昇進の時は、浅草演芸ホールに伺う。確かヨシカミでご飯をご馳走になった。真打ち昇進の時には、新宿末広亭の披露目を観た。春錦亭柳櫻と同時昇進だった。口上などで芸協幹部の期待がひしひしと感じられ、自分のことのように嬉しかった。この時、小文治さんは主任で『大工調べ』を熱演した。
小文治さんは高校時代、体操をやっていた。トンボが切れることから、踊りを売り物にした。故古今亭志ん朝が座長を務めた「住吉踊り」のメンバーでもある。
踊りは小文治さんに美しい所作を与えた。十八番『虱茶屋』の面白さは、まさに踊りの賜である。『殿様団子』の仕草もいい。
収まった口調で爆発的なフラはない。でも、演出は丁寧で、はっきりと人物を描き分ける。堅実な芸風だ。50代を迎え、落語家としては脂が乗り切る時期にさしかかってきた。風格が出、端正な芸にふくらみが出てきたように思う。
DVDには『船徳』と『芝浜』が収められている。『船徳』は仕草の多い噺で、まさに小文治さんのニンに合っている。オリジナルのくすぐりも入っていて、楽しい一席に仕上がった。『芝浜』は適度に笑いがあり、変に湿っぽくなっていない。人情噺ではなくきちんと落語になっている。小文治さんの見識がうかがわれる。程がいい。
この度、小文治さんは『宮戸川(上・下)』で芸術祭賞を受賞した。特に「下」は小文治さんの創作という。第1集で「上」(多分)の方が収録されているが、通しで是非DVD化してもらいたい。
この受賞が、小文治さんを一回りも二回りも大きくしてくれると思う。層が薄いと言われている芸協にとっても、小文治さんは貴重な戦力だ。どうか健康に注意されて、息の長い落語家になって頂きたい。文楽も志ん生も圓生も、小文治さんの師匠十代目文治も、丈夫で長生きしたからこそ、芸の華を咲かせることができたのだから。(HPの日記を拝見すると、心配は無用のようですね。)

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