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2018年6月12日火曜日

もうこの世にいないのか、森田童子

森田童子の死を、夕方のニュースで知った。
日本音楽著作権協会の会報に訃報が載っていたという。
亡くなったのは4月24日、65歳だった。ニュースでは「死因は心不全」だと言っていたが、詳しくは分かっていない。

高校の時、彼女のデビューアルバム『グッドバイ』を買い、大学に進学して川崎のアパートに引っ越す時、幼馴染のH君に『マザー・スカイ』と『ア・ボーイ』をダビングしてもらった。大学を卒業して社会人1年目の年には、ラストアルバムになる『狼少年』を買っている。私の10代後半から20代前半にかけて、最もよく聴いたシンガーソングライターの一人と言っていい。
「死に近い」歌だった。「安全カミソリがやさしく僕の手首を走る」とか「太宰の好きな君は睡眠薬飲んだ」とか、自殺をモチーフにした作品も多かった。以前、このブログに森田童子のことを書いた時、「なかにし礼」という方から「(彼女の歌は自殺誘発ソングであり、)森田童子を手放しで称讃することはできない」というコメントをいただいたが、それに対して童子のファンの方からは反論のコメントが相次いだ。童子の歌は「死に近い」がゆえに絶望の淵にいる者に優しく寄り添う歌でもあったし、「切実に生を求める」歌でもあったのだと思う。

2016年に発売されたリマスター版CD『マザー・スカイ』を聴く。
もちろんイアホンをつけて。
妻が近くで本を読み、息子は机で勉強をしている。
このアルバムを毎日のように聴いていた頃、私は川崎の四畳半で、部屋中を煙草の煙でいっぱいにし、サントリーレッドをあおっていたのだ。
あの頃感じたひりひりしたものは今は感じない。童子の声は、言葉は、優しかった。
そうか、もうこの世にいないのか、森田童子。

歌うのをやめてから35年間、あなたは決して再び歌おうとしなかったけれど、あなたの歌に心を動かされている人は今でもたくさんいます。
私もあなたの歌が大好きでした。ご冥福をお祈り申し上げます。

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