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2008年12月9日火曜日

「明烏」

午後から冷たい雨。


夕食はナシゴレン。





もうひとつ思い出話を。


この文楽の代名詞ともいえる噺を初めて聴いたのは、中学3年の時だった。


NHKだったかTBSだったか、ある時テレビで放映されたのだ。


私はラジカセで録音の準備をして放送を待った。


映像は昭和46年3月のもの。文楽の最晩年の口演であった。


後から聴けば、悲しいほどろれつも回らず、とちりも多い。


全盛期とはほど遠い出来だったと思う。


それでも私は魅了された。


枕の牛鍋の何と旨そうなこと。


源兵衛と多助の温度差のおかしさ。


若旦那時次郎の初々しさ。


「お稲荷さんのお籠もり」と騙されて吉原に連れてこられた時次郎が、駄々をこねた末、浦里花魁と一夜をともにした翌朝。


「花魁は口でばかり起きろ起きろと言ってますが、あたしの手をぐっとおさいて・・・」


中学3年生の私でも、その時、この78歳の老人に匂い立つ色気を感じたのだ。


そして、絶品の甘納豆の仕草。(その昔、文楽が「明烏」を演った後は、売店の甘納豆が飛ぶように売れたという)


この時録音した「明烏」のテープは、それこそ大事に大事に何度も聴いた。


同級生のE君に聴かせると、彼も感動していた。



彼が家に遊びに来ると、いつも母親の煮た大根を食べながら、二人で「明烏」を聴いたものだった。


今思うと、二人とも変な中学生だったよなあ。

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