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2022年2月15日火曜日

ハリガネムシ考

 ハリガネムシというものがいることを、先日の「鉄腕ダッシュ」を見て知った。

こいつは線虫の一種で、水中で生まれる。ヤゴなどの水生昆虫に食べられ、その体内に寄生する。やがてそれらが羽化して、カマキリなどの陸生昆虫に捕食されると、そちらに宿主を変えて成長する。成虫になると、宿主の脳をコントロールして、水に飛び込ませて溺死させ、宿主の肛門から出て水中へ帰り、生殖活動を行うのだという。

どうしてハリガネムシは、水中で生まれ、水中で育ち、水中で生殖活動を行い、水中で一生を終える、という平穏な生き方を選ばなかったのだろう。

私は彼らの波乱万丈な禍々しい一生に思いを馳せ、呆然とした。

私にも知的好奇心はある。そこで、歴史の大家であり、ベストセラー作家でもある某氏に倣って、ウィキペディアで調べてみると、次のようなことが分かった。

ハリガネムシが溺死させた陸生昆虫は、魚の餌になる。まず、それが渓流に住む河川性サケ科魚類の貴重なエネルギー源になる。そればかりではない。そのために水生昆虫の食べられる量は減る。温存された水生昆虫は水中の藻を食べて減らす。藻が減ったおかげで落ち葉の分解速度が促進される。ハリガネムシが陸生昆虫を溺死させるのは、彼らが充分成長する秋なので、落ち葉の季節と合致するのだ。

つまり、ハリガネムシが陸生昆虫を溺死させることで水中の生態系は安定するのだ。さらに言えば、水生昆虫が保護されることで、ハリガネムシの幼生の宿主も確保される。ということは自分たちのメリットも生んでいるのである。

すごいなあ。ハリガネムシの波乱万丈の生涯にも、理論的な意味があったのだ。ここまでくると何か大いなるものの意志を感じずにはいられないな。


日曜日の雪はそんなに大したことはなかった。長男も無事にテストを受けられたという。よかったよ。

月曜日の通勤路。うっすら白くなっている程度だった。

4 件のコメント:

東志郎 さんのコメント...

ワタシもDASH見てました。カマキリを捕獲したらお尻(勿論カマキリのです)を水に漬けると、かなりの確率でハリガネムシが出て来ます。それはそれは「愛らしい」姿です。学生時代に目黒の寄生虫博物館に行った事があります。今の立派な建物ではなく古~いモノでしたが、その頃でも怖いもの見たさのカップルが大勢居りました。他に蟹に寄生するフクロムシ、カタツムリに寄生してハリガネムシ同様に行動をコントロールするロイコクロリディウム等、宿主にとっては迷惑千万ですが、仰せの通りもっと広い視野で考えれば自然の営みの一部なのかもしれません。「パラサイト」というコリア映画がアカデミー賞を取ったのが思い出されます。落語のマクラの江戸川柳に曰く「親のすね 齧る息子の 歯の白さ」これも一種の寄生でありましょうか。

densuke さんのコメント...

えー、カマキリ捕まえてお尻を水につけると、「かなりの確率」でハリガネムシが出て来るんですか?知らなかったなあ。秋になると家の周りにけっこうカマキリでます。うーん、興味はあるけど、やりたくないなあ。
目黒の寄生虫博物館は存在は知っていますが(蛸薬師の近くでしたっけ?)、行ったことはありません。誘われても二の足を踏むと思います。あの手の虫を見ると、体の内側がむずむずするような気持ちがします。いわゆる「虫が好かない」というやつですかね。私の胞衣を埋めた上を、寄生虫を持った宿主が通ったんでしょうか。
ハリガネムシにしろ、宿主の脳をコントロールして溺死させるって、空恐ろしい。結果的に生態系を安定させているとはいえ、もうちょっと穏当なやり方はなかったのか、と思ってしまいます。

ともちゃん さんのコメント...

10年以上前、目黒の寄生虫博物館に行った、「怖いもの見たさのカップル」の一人です。サナダムシの標本の長さに圧倒されました~。あと、何の寄生虫だったか忘れたけど、宿主の不幸な男性の睾丸が信じられないほどに肥大した写真が…densukeさんをさらに虫嫌いにさせてしまうのでここらで止めましょう(笑)

densuke さんのコメント...

虫全てが嫌いなわけではありませんが、足がないのと足がたくさんあるのは苦手です。
かみさんは大の虫嫌いなので、寄生虫博物館に行くことはないでしょう。
睾丸を肥大させるって・・・、彼らのやることはえぐいですねえ。何度も言いますが、もうちょっと穏当なやり方はないんでしょうか。