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2016年5月21日土曜日

柳家喜多八を悼む

今朝、新聞を読んでいたら、柳家喜多八の訃報が出ていた。
思わず目を疑った。まだそんな齢じゃないだろう、ととっさに思った。

寄席に行く時、私にとって「この人が出てるから行ってみようかな」と思わせる中に、必ず入っているうちの一人だった。
短く髪を刈りこんだ職人風の雰囲気の人が多い柳家にあって、喜多八の髪をなでつけた細面の風貌は、どちらかというと三遊亭に近い。明治の四代目圓生を思わせる。
ダルな感じを売り物にしていた。気怠そうに高座に現れ、「虚弱体質ですぐ疲れちゃう」とかなんとか言いながら枕を振りつつ、噺に入ると、きびきびした熱演で客を惹きつけた。得意なのは柳家のお家芸、滑稽噺。『だくだく』『いかけや』『味噌蔵』『小言念仏』などが心に残る。

シャイだったのだろう、ぐいぐいくる押し出しの強さはなかった。どこか斜に構えた感じがあった。
私が近年接した高座では、「落語に飽きちゃったんだよね」と言いながら、浪曲の『清水の次郎長伝』から『石松の代参』のくだりを落語に仕立てたネタを演じていた。私としては、直球の落語で勝負して欲しかったな。そして渋いベテランのポジションではなく、真ん中に出てきて欲しかった。それだけの力はあったのだ。
66歳か、落語家として最もいい時期なのに・・・。本人がいちばん口惜しいだろう。
柳家喜多八師匠のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


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