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2016年8月13日土曜日

池袋演芸場 8月上席夜の部

入った時にはもう二つ目が上がっていた。客は5分の入り。
高座には三遊亭日るね。歌る多の弟子。ネタは『堀の内』。何か不思議な口調。「だいじょぶですか~」って、君が大丈夫か。上手くはないが癖になる。
調べてみたら、本名「日麻(ひま)」で前座名が「多ぼう」。なかなか洒落てる。2013年6月に二つ目に昇進し「歌も女」。で、半年後の12月に「日るね」に改めている。名前が気に入らなかったのか。二つ目で改名するのも珍しい。
金原亭龍馬、『町内の若い衆』。伯楽門下。2013年に真打。口調はさわやか。このネタは最近寄席でよくかかる。ウケるネタなんだろうね。どうしてもおかみさんが化け物になっちゃうのね。
ここで漫才。ホームラン。オリンピックネタ。といってもほとんどがわき毛の話。内村が金メダル取ったから、またこのネタが増えそうだなあ。
古今亭菊志んは『あくび指南』。ちょっと立川談志に似ているな。ネタがネタなだけに、次第に意識が遠ざかる。最初のあくびが出たところではっと目を覚ました。「あの辺のお客さんの寝息が・・・」と高座から言われちゃった。失礼しました。それ以降は、ちゃんと聴いてたよ。
お目当ての桃月庵白酒登場。『浮世床』をさらっと。いい声、いい口調。
アサダ二世の手品。アダチ龍光がこんな感じだったんだろうな。
三遊亭歌る多。女流落語の草分け的存在。貫録あるねえ。ネタは、二代目円歌から三代目に引き継がれ、お家芸となった感のある『西行』。落語は概ね男の語りでできており、女流の場合、人物描写に違和感を感じてしまうことが多いが、地噺という手はあるな。講談に女流が多いのも、地の語りが主だからという側面があるのかもしれない。ちょいちょい挟む下ネタが楽しい。気の合うスナックのママと話しているみたい。
そして、もう一人のお目当て、柳家小満ん。新作だろうな。湯に行って、はずみでタクシーに乗って鮨屋で飲み、その後スナックに行ったら土産の折を食われちゃった、って噺。黒門町八代目桂文楽への想いは著書『べけんや』に詳しい。黒門町のようなメリハリの利いた華やかさはないが、何とも言えない品のある色気があって、この辺が文楽を思わせる。ふわふわと小満んの世界に浸る。
ここで中入り。
くいつきは林家彦丸。今年3月に真打に昇進したばかり。まだ30代か、若いねえ。師匠正雀譲りの生真面目な語り口。ネタは『花筏』。
翁家社中、大神楽。
そして、本日の主任(トリ)、林家正雀が高座に現れる。出囃子は「あやめ浴衣」。彦六こと八代目林家正蔵の衣鉢を継ぐに、ふさわしい登場だ。
この芝居は正雀の怪談噺がメイン。この日は3夜にわたる『怪談乳房榎』の最終日。『十二社の滝』。
絵師菱川重信の弟子磯貝浪江は、師匠の妻おきせに懸想し、師匠が泊まりがけの仕事をしている留守に彼女を口説き、想いを遂げる。密通を重ねた上、下男正介を脅し、重信を蛍狩りに誘い出し、待ち伏せて殺害。おきせの後添いに収まると、重信の遺子間与太郎を亡き者にするため、またもや正介を脅し、四谷の十二社の滝の滝壺に、間与太郎を投げ込むよう命じる。正介は乳の出なくなったおきせのかわりに鳩ケ谷の親類に間与太郎を養育させようという名目で間与太郎を連れ出し、十二社の滝に向かう。
業の深い噺だな。おきせは浪江が間与太郎を殺すというので泣く泣く身を任せるのだが、次第に浪江との愛欲に溺れていく。正介は根は善人だが、浪江に脅され命惜しさに、嫌々ながら主人殺しに加担させられる。そして、如才なく細やかな気遣いを見せながら、その実邪悪な心を持つ浪江。本当に悪い奴は、表面上は愛想のいい、「いい人」だったりするのだ。
正雀はその成り行きを丁寧に語り込んでゆく。過剰な心理描写を排した叙事的な語り口。演じるというよりは「語る」と言った方がいいかもしれない。まさに林家の怪談。最後に出てきた重信の幽霊は太鼓のドロとも相まって迫力があったな。
正雀・彦丸師弟によるかっぽれで賑やかにお開き。この二人らしい、折り目正しいかっぽれでありました。



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