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2020年10月9日金曜日

ジョン・レノンの誕生日

今日、10月9日はジョン・レノンの誕生日だったんだなあ。しかも今年は80回目。ジョン自身は40回しか誕生日を迎えられなかったけど。

「いちばん好きなミュージシャンは?」と訊かれたら、私は今もためらいなく「ジョン・レノン」と答えるだろう。

ジョンの写真を初めて見たのは、学研から出ていた学習雑誌の『高1コース』だったかな。洋楽特集の中にあったと思う。ジョンは酒場のカウンターに座ってカメラに顔を向けていた。ハンチング帽を被り、トレードマークの小さな丸眼鏡をかけている。カウンターにはウィスキーのグラスがあり、くしゃくしゃの紙幣が無造作に置いてある。カッコよかったなあ。私はあのビジュアルに、まずやられたんだ。大人の男、しかも深みのある顔だったな。

ビートルズを聴き出したのは高校時代だ。自意識過剰な時期だったから、アイドルから脱皮して芸術的なアルバムを連発した後期、中でも音楽の枠にとどまらない存在感を示すジョン・レノンに惹かれたな。

もちろん既にビートルズは解散していたし、ジョン・レノンもその後5年にわたる引退生活に入った頃だった。だから私にとって彼らの音楽は同時代のものだったわけではなく、「既にあるもの」だった。私が高校時代買ったアルバムは、『アビイ・ロード』『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、それに俗にホワイトアルバムと言われた『ザ・ビートルズ』。まあつまりはそういう志向だったのだ。

高校時代買ったジョンの本は「周囲の嘲笑にもめげず、ヨーコとの愛を貫くジョン」というストーリーを用意していた。私もそれを素直に受け入れていたよ。

ジョン・レノンには人によって色々な顔がある。「愛と平和の戦士」「孤独なロックンローラー」「ハウスハズバンドとして息子ショーンを育てた家庭人」・・・、特にその悲劇的な死以降、ほとんど神格化されてしまった感がある。一方、「ヨーコにコントロールされたマザコン」「冷酷な皮肉屋」「傷ついた傷ついたと大げさに喚く甘ったれ」と否定的な目で見る人もいるだろう。

いずれにせよジョン・レノンは、あれほどの大スターでありながら、自分の弱さを隠そうともせず自分の正直な気持ちを歌ってくれた。そこに共感が生まれる。私たちは自分が受け取るジョン・レノンを客体化できない。ジョンの嘆きは私たちの嘆きであり、ジョンの怒りは私たちの怒りだった。しかし、あくまで私たちが受け取るジョン・レノンは、正確に言えば虚像である。虚像ではあるが、ジョンに夢中になればなるほど、虚像と実像の境界は曖昧になってゆく。膨れ上がる虚像が、生身のジョンに銃口を向けた。1980年12月8日の、マーク・デビッド・チャップマンによるジョン・レノン殺害はそういうことだったのだと思う。

社会人になってしばらくするとビートルズのアルバムがCD化された。改めて聴いていくと、昔軽く見ていた初期の作品の素晴らしさが分かった。特にジョンが卓越した歌手であったことを強烈に思い知らされた。

甘い鼻にかかった声、少しかすれた切ない声、切り裂くようなシャウト、多彩で深みのある歌声に、私は魅了された。それはデビュー作『プリーズ・プリーズ・ミー』で既に完成の域に達し、しかも作を追うごとに成長している。『ラバー・ソウル』辺りまでのジョンは本当にすごい。もうジョンの声だったら、毎日でも聴ける。

最近、ジョージ・ハリスンの『オール・シング・マスト・パス』を買った。ボーナストラックに「ジョニーの誕生日」という曲があった。これはジョージがジョンの30歳の誕生日に贈った歌だ。今日はそれを聴きながら帰って来たよ。

ジョン、誕生日おめでとう。愛と平和が、こんなにせせら笑われるようになる世の中が来るとは思わなかったよ。それでもまあ頑張るさ。まだ私たちにはあなたの歌がある。




2 件のコメント:

ともちゃん さんのコメント...

ビートルズ、私はカセットテープで聞いていました。通学電車の中、ウォークマンで。今のipod
とかと比べるとなんて重くて効率が悪い機器。でも当時は音楽を持ち歩けること自体がオシャレで便利で
。たかだか30年でCDも買わなくていい時代が来てしまった。便利だけど、手で触ることができる物を持ちたい私は、ちょっと寂しくて物足りない気がしています。
ジョンレノンの話じゃなくなっちゃったけど(笑)『アイ・フィール・ファイン』のイントロの、キターーーーって感じが、好きです。

densuke さんのコメント...

『アイ・フィール・ファイン』はジョンの曲です。かっこいいですよね。「極私的ジョン・レノンの5曲」で『エニイ・タイム・アット・オール』とどっちにしようか迷ったのですが、より知名度の低い方にしてしまいました。
イントロのギターリフは私も大好きです。それとリンゴ・スターのドラミングが絶品なんですよ。是非聴いてみてください。