ページビューの合計

2017年8月27日日曜日

「ひよっこ」の宗男さんへ

ちょっと前、NHKスペシャルでインパール作戦の特集を見た。
その後ネットで調べようと思って検索していると、「インパール作戦 茨城」というワードが上位にあるのに気づく。不思議に思って開いてみると、どうやらNHKの朝の連続ドラマ「ひよっこ」の中で、ヒロインみね子の叔父宗男さんが、インパール作戦の生き残りだったということかららしい。
サイトのコメントによると、茨城県出身者で構成された歩兵第213連隊は、第33師団に隷属し北支から南方へ転戦してインパール作戦に参加、連隊の戦死者数は中国戦線で406名、ビルマ戦線で4278名だという。

うちの伯父は昭和17年12月に召集され、水戸東部37部隊に入隊。翌年1月にビルマ方面軍に編成されてビルマに渡った。
水戸からは歩兵第二連隊がペリリュー島へ、歩兵第102連隊が東部ニューギニアへ、歩兵第213連隊がビルマへと派遣された。ということは、伯父が配属されたのも、この歩兵第213連隊だと考えるべきだろう。
2007年8月13日付の常陽新聞に掲載された石下町(現常総市)出身の人は、昭和18年4月に水戸東部37部隊にインパール作戦要員として入隊し、第33師団歩兵第213連隊に配属された。インパール作戦は昭和19年3月から7月中旬まで行われた。うちの伯父さんが派遣されてほぼ1年後。伯父さんもまたインパール作戦に参加したことに、恐らく間違いはないだろう。

「ひよっこ」の宗男さんはインパール作戦で戦友のほとんどを失い、飲まず食わずで山の中を歩く。ある時、斥候に出されたジャングルの中で、一人のイギリス兵に遭遇する。イギリス兵を呼ぶ仲間の声が聞こえ、死を覚悟した宗男さんに対し、イギリス兵はにっこりと笑いかけ、密林の中に姿を消したという。
宗男さんは笑いかけてきたイギリス兵に対し、呆然とするだけで笑って返すことができなかった。それが悔しかったと言い、さらにこう続ける。「拾った命だから、笑って生きようと決めたんだ。」
「で、俺の中でビートルズとあいつがごっちゃになっちゃって、だから俺は言いてえんだ、ビートルズに。『俺は生きてっとう!俺は笑って生きてっとう!お前も生きてっか!笑ってっか!』と言いてえんだ。」

もちろんインパール作戦で戦いが終わったわけではない。この後歩兵第213連隊は1年以上ビルマ国内を転戦する。昭和20年6月にはタイ国境付近のラマイン地区にたどり着き、そこで終戦を迎えた。
しかし、伯父さんは昭和20年7月20日、トングー県東北部ベネコン付近で戦死する。その日トングーではシッタン渡河作戦という戦闘があり多数の兵が亡くなっている。家で言い伝えられている話では、伯父さんは雨季のジャングルを行軍中、将棋倒しに巻き込まれ泥水の中で溺れて死んだということだ。
歩兵第213連隊がその頃タイ国境付近に転進しているのに、伯父さんがなぜトングーで死んだのかは分からない。ただ、その連隊が所属した第33師団、さらにはその師団が所属した第15軍もほとんど壊滅状態にあり、転戦するうちに伯父さんが本隊から離れてしまったということも考えられないことではない。

私はテレビに向かってこう声をかけたい。
「宗男さん、あなたのいた部隊に、霞ケ浦沿いの小っちゃな村から来た、サブちゃんという人がいなかっただろうか。知っていたら、どんな小さいことでもいい、その人について話してくれないか。」と。

0 件のコメント: